エレベーターに乗ると鏡の存在が気になるけれども、この鏡は何故あるの、という疑問を持っている方がいらっしゃるようですので、それに答えたいと思います。
ビルやマンションなどのエレベーターに乗ると、鏡の存在していることに気が付くことがよくあると思われます。それにもかかわらず、その存在理由が分からない人が多くいるようです。
それでは、何故、エレベーターに鏡が設置されているのかをここで検証してみたいと思います。
エレベーターは、逃げ場のない閉鎖的な空間であるため、密室犯罪の発生するリスクがあります。
スリ、恐喝、痴漢行為、盗撮行為などが実際に起こり得る犯罪として挙げられます。これを未然に防ぐために、エレベーター内部には監視カメラが設置されています。
そして、エレベーターの上部に付けられた鏡は、見上げるとエレベーター内部を見通すことができますが、どうやら防犯のために鏡が設置されているわけではないようです。
確かに、鏡でエレベーター内部を確認したところで、密室に2人きりとなれば、結局、犯罪は起きてしまいます。
それから、ついでに言うと、身だしなみのために鏡が設置されているわけでもありません。それでは、一体どういう理由でエレベーターには鏡が取り付けられているのでしょうか。
実のところ、車椅子に乗った人がエレベーターから降りる際に、前面、ないしは、上部に設置された鏡を見ることで、後方の様子が確認できます。これにより、エレベーターから降りる際にそれほど支障なく、バックしながら降りることができるのです。
鏡の設置されている場所ですが、上部に据え付けられているものは、混雑時も後方を確認することができるように鏡が上部にあるのです。
他方、前面に設置されているものは、大きめな鏡を据え付けることで、はやり混雑時でも後方を確認することができるのです。
このように、エレベーター内に鏡がある理由は、車椅子に乗った人がエレベーターを降りる際に鏡を見て後方を確認するためにあるということなのです。まさにバリアフリーと言えます。
一般家庭において最も普及しているタイプの鏡は、鏡面に板ガラスを使ったものです。しかし、これでは、鏡面に物が当たった衝撃で割れてしまい、鋭利なガラス片が飛び散ってしまう可能性があります。そして、2次災害として破片で手足を切ってしまうことにもなります。
それ故、割れない鏡が請われることになります。それが、いわゆる「割れない鏡」と呼ばれる製品で、脆弱な素材であるガラスの代わりに、銀蒸着されたフィルムが鏡面に使われています。そのため、割れることがないので、防災上、とても安全なのです。
防火上の内装制限のために、エレベーター内部に設置できる鏡の種類は特定されています。材質や大きさが定められているのです。そのため、ステンレスミラー、及び、合わせミラー(合わせガラス製鏡)が多く用いられています。合わせミラーとは、鏡とガラスの間にフィルムを挟んだ構造をしています。つまり、いずれも、割れない鏡、ないしは、割れても破片が飛散しない鏡ということです。
そのため、ガラスの割れた破片がエレベーターの床に飛び散ってしまうことはありません。従って、防火上の内装制限における材質面を満足しているのです。
そして、一般家庭でよく使われる割れない鏡には2種類があります。フィルムと背面のボードの間に隙間のある構造であるリフェクスミラーは、鏡面のフィルムがとても柔軟です。そのため、エレベーターの前面に設置すると、狭小空間であるため、表面に傷が直ぐに付いてしまうことが懸念されます。そこで、エレベーターの上部にリフェクスミラーを据え付けることになります。
他方、フィルムと背面ボードが密着した構造である東プレ製の割れない鏡などは、大きなサイズがありません。そのため、構造的には、エレベーターの前面の設置に適していますが、サイズがないので、上部に設置するということになります。
いずれにしても、家庭でも使われる割れない鏡をエレベーターの上部に設置することで、車椅子の降車問題を解決することができます。
鏡、ないしは、エレベーターのメーカーは、エレベーター内に設置するための鏡を製造しています。これらを用いるのもよいと考えられます。
以上より、エレベーターの内部には、出入り口の正面の壁に、または、上部に鏡が設置されていることが多くなっています。これは、防犯対策や身だしなみのためではなく、車椅子に乗った人が、エレベーターから降りる際に鏡を見て後方の様子を確認するために存在するのです。
それでは、エレベーターに乗った際に鏡があった際には、きっと割れない鏡であると思われますが、その様子を観察してみてください。
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