割れない鏡とはどういうもの
そもそも鏡とは
大昔は、自分の姿を自分自身でみることは、水面に映す以外にできませんでした。しかし、その像も鮮明ではないため、自分の姿を見たいという人類の欲求は強く、それを可能とする道具を発明しました。それが鏡です。
古いところでは、青銅製の銅鏡が有名です。日本ならば、卑弥呼の時代には既に鏡が存在したのです。従って、鏡の歴史はとても古いのです。
通常使われている一般的な鏡はガラス板が用いられていますが、最近人気となっている割れない鏡と呼ばれる鏡は、その名の通り、ガラスのように割れることがないのです。
割れない鏡の特徴
割れない鏡がその俗称ともなっているように、割れない鏡の最大の特徴は割れないということです。何故、鏡なのに、そのような特徴を有しているのかと言えば、割れる素材を用いていないからです。
つまり、ガラスという衝撃で壊れてしまう素材ではなく、フィルムという柔軟な素材を表面に使用しているのです。そのために、倒れても、物がぶつかっても、鏡が割れることはないのです。
このような可塑的な強さがもたらす一番のメリットは、ガラス片のように足や手を切ったりする鋭利な破片が散乱しないということです。そのため、怪我をすることがなく、とても安全な鏡となっているのです。
壊れない鏡の構造
割れない鏡と称せられるものとして、最も著名な製品にリフェクスミラー（REFEX）があります。その人気と販売数を考えれば、このリフェクスミラーの構造上の特徴を知れば、割れない鏡の構造を知ったと言っても過言ではありません。
ですので、まずはリフェクスミラーの構造を検討することにしましょう。
一般的な鏡は、板ガラスに銀膜部が吹き付けられ、更に銅膜部、保護塗料が順次塗られます。しかし、リフェクスミラーは、板ガラスの代わりにポリエステルフィルムが用いられているのです。更に、ポリエステルフィルムの裏側の蒸着成分は、銀・アルミニウム、ないしは、アルミニウムとなっています。
そして、鏡の裏側には、ポリエステルフィルム・蒸着成分との間に空間層を設けています。裏側の素材としては、不燃タイプであれば、4.0 mmの厚さのケイ酸カルシウム層をアルミ角パイプが裏打ちしています。他方、軽量タイプであれば、硬質ウレタンボードとなっています。
従って、ポリエステルフィルム、アルミニウム、硬質ウレタンボードという比較的軽い素材を用いているため、全体の重さが軽くなっています。具体的には、ガラスの鏡よりも、6分の1から5分の1の重量になっているのです。
このように軽い材料で作られているため、超軽量ミラーという別の俗称も持っています。
割れないことの利点と使い方
割れるとされていた鏡が割れないようになったことで、その使い方は広範に及ぶようになりました。
鏡が割れないことの利点は、割れた破片によって怪我をすることがないということです。そのため、家庭で使用する際、地震で転倒しても、子供がぶつかっても、物が当たっても、割れない鏡は破損することがないため、怪我の原因となる鋭利な破片が飛び散らないのです。
従って、一般家屋において、最もニーズの高い姿見や化粧鏡として使われるだけでなく、比較的大きめの鏡を導入し易くなったために、ダンスやスポーツの動きやフォームを鏡に映し出して確認することが家庭内でも可能になったのです。
鏡の安全性が増していたことで、今まで使われていた場所とは異なる場所で鏡が活躍できる可能性が生じました。つまり、人が多く集まる空間に使えるようになったのです。
実に多岐に渡る場所で割れない鏡、特に、リフェクスミラーは使われています。
例えば、大正大学では、体育館に使われ、まさにダンスやスポーツの動きやフォームの確認に用いられています。
世界貿易センタービルでは、チャペルの天井や壁に使われ、開放的で、幻想的な空間を創出しています。
モード学園では、広めの空間に使われ、服飾やファッションの製作や発表準備のために用いられています。
太平洋フェリーいしかりでは、客室フロアのエレベーターホール、及び、吹き抜け天井に使われ、開放的で明るい空間を演出しています。
このように、割れない鏡は、開放的なスペースで実利的に用いられています。まだ他にも興味深い用途があると考えられます。
まとめ
以上より、リフェクスミラーに代表される「割れない鏡」は、ガラスのように割れることのないポリエステルフィルムが使われています。そして、ポリエステルフィルム、アルミニウム、硬質ウレタンボードという軽量素材を採用しているので、鏡全体の重さが軽いのです。
つまり、割れなくて軽いという鏡としてこの上ない長所を持っているため、安全性が増しました。その結果、鏡の大型化や大量使用を可能にして、一般家屋だけではなく、人が大勢集まるスペースでも使われるようになっています。
それでは、割れない鏡の構造上の特徴を知ったところで、実際にその安全な鏡を使ってみてください。
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