サンタクロース以外の宗教改革以降のプレゼント配達の請負人
プレゼントを配るサンタクロース
毎年、クリスマスになると子ども達にプレゼントを配るサンタクロースはとても人気のあるキャラクターとして親しまれています。このサンタクロースは、聖ニコラオス(聖ニコラス、聖ニコラウス、Saint Nicholas)((270-343年頃12月6日)がモデルとあると考えられています。そして、オランダのシンタクラースとなって、アメリカで今日イメージされるような赤い服を着て髭を生やした太めの男性像となっていくのです。
このサンタクロースに限らず、クリスマスの時期に各国でプレゼントを配るキャラクターがいます。それは、聖ニコラオス由来ものと非由来のものが存在するようです。ここでは、それを検証することにします。
偶像崇拝を好まないプロテスタント
宗教改革が実施されると、偶像崇拝を好まないプロテスタントは、12月5日にプレゼントを配る聖ニコラオスを快く思いませんでした。しかし、子ども達の歓心を引くために、イエス・キリストの降誕を祝うクリスマスの前日である12月24日にプレゼントを配ることを認めたのです。そして、聖ニコラオスがプレゼントを配る行為は継続されたのです。
これ以降、現在に至るまでクリスマスイブがプレゼントをもらえる日となったのです。
シンタクラース(オランダ)
シンタクラース(オランダ)
オランダのシンタクラース(Sinterklaas)は12月6日の聖ニコラオスの日の前日に子ども達にプレゼントを配ります。聖ニコラオスの日が関与することから分かるように、聖ニコラオスがモデルとなっています。
シンタクラースとそのお供のズワルトピート(Zwarte Piet)を乗せたスペインを出発した船が11月第2土曜日にオランダに上陸して、オランダ各地を白馬で移動します。そして、ズワルトピートは良い子と悪い子を調べてシンタクラースに報告します。
このシンタクラースは、オランダからアメリカへ渡った移民によって伝えられ、サンタクロースへと変容していきました。
ファーザークリスマス(イギリス)
17世紀に清教徒革命が起こった際に、偶像崇拝を禁止するプロテスタントに対抗するために、王党派がファーザークリスマスをクリスマスのキャラクターとして再度担ぎ出しました。そして、王政復古以降は、ファーザークリスマスの政治的な役割はなくなりますが、18世紀後半から19世紀にかけて民間劇で登場して活躍しました。
そして、ビクトリア時代には、クリスマスが家族で楽しむ行事として親しまれるようになり、アメリカのサンタクロースがイギリスに伝えられると、ファーザークリスマスはプレゼントを子ども達に配る存在になりました。
ヴァイナハツマン、クリストキント(ドイツ)
ヴァイナハツマン(Weihnachtsmann)も聖ニコラオスをモデルとしています。Weihnachtはドイツ語でクリスマスを意味しますので、差し詰め、クリスマス男ということになります。12月24日にプレゼントを配ります。
そして、ブラックサンタクロース(クネヒト・ループレヒト、Knecht Ruprecht)は、ヴァイナハツマンのお供のような存在で、悪い子がいれば懲らしめます。
他方、クリストキント(Christkind)もまたクリスマスにプレゼントを配ります。しかし、サンタクロースとは違って、文字通り、幼児のキリストがモデルとなっています。
北ドイツではヴァイナハツマンが信じられ、南ドイツではクリストキントが信じられています。
アメリカにおいて現在のサンタクロース像を形作ったThomas Nast(1840-1902年)は、ドイツ系移民でした。クリスマスツリーやクリスマスリースもまたドイツで発展していることから、ドイツも現代のクリスマスに大きく関与していることが示唆されます。
ユールの諸サンタクロース(北欧)
ユールとは、古代ゲルマン人が冬至の頃に行った祭りのことで、収穫感謝や豊穣祈願などが目的でした。そして、キリスト教の伝統や行事と融合していきます。
北欧の各国には特徴的なサンタクロースがいますが、もともとは土着の妖精がキリスト教と結びついたと考えられます。ユール・トムテはスウェーデン、ユール・ニッセはデンマーク、ヨウルプッキはフィンランド、アイスランドのユール・ラッズ(ヨウラスヴェイナル)というサンタクロースがいます。
これらのキャラクター達も子ども達にプレゼントを渡します。
それから、ヨウルプッキは良い子と悪い子を見極めるというオランダのズワルトピートやのドイツのブラックサンタクロースを彷彿とさせます。長い歴史の中で、地続きの国々は文化も混ざっていったのかもしれません。
マロース (ロシア)
ジェド・マロース(Дед мороз)は、ロシアの霜の精として知られており、マロースとは厳寒という意味です。
ヨーロッパ化を進めるピョートル大帝が17世紀にドイツからクリスマスツリーを導入してヨールカ(ёлка)としました。しかし、このヨールカは、漸く1852年に、サンクト・ペテルブルグのエカテリーナ駅に飾られ、以後、一般的になっていきます。
それと同時に、19世紀にジェド・マロースにもサンタクロース的な役割を担うようになりました。すなわち、プレゼントを配るのです。
ロシアは、ロシア正教なので、12月25日にはなくもせず、1月7日がクリスマスとなっています。
まとめ
以上より、世界各国には、子ども達にとって人気となるプレゼントを配るキャラクターがそれぞれ存在して活躍していることが分かりました。
それでは、海外旅行ではその国々のサンタクロースに会うことを目的の1つにしてみてはいかがでしょうか。
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