クリスマスになると玄関や壁にクリスマスリースを掛けて飾りますが、一体、クリスマスリースとはどういうものなのかよく分かりません、という疑問を持つ方がいらっしゃるようですので、その疑問を解消したいと思います。
日本では毎年年末のクリスマスはすっかり恒例の年中行事ですが、もともと、このクリスマスはイエス・キリストの降誕を祝う日という宗教的な意味合いのあるものです。そのため、クリスマスにおいて宗教色があまりない日本人にとって、クリスマスに潜む意味や目的などが完全に理解できないというのが実情ではないでしょうか。
クリスマスに行う習慣として、プレゼント、クリスマスカード、クリスマスソング、クリスマスツリー、クリスマスリースなどが知られています。
しかしながら、プレゼントやクリスマスカードのような既に定番というものは、何とはなしに理解できます。が、クリスマスリースともなるとよく見掛けるにも関わらず、どういうものか分からない人は多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは、クリスマスリースについて検証することにしましょう。
リース(wreath)は、花や葉などを素材として作った輪のことで、玄関や壁に掛けて飾ります。そして、とりわけ、クリスマス用のしつらえをしたリースをクリスマスリースと呼び慣わしています。
クリスマスリースには、キリストの降誕を祝うクリスマスならではの特徴的な幾つかの要素があります。
すなわち、ヒイラギ(柊)は、その葉のトゲがあることから、キリストの受難を象徴的に示しています。また、その赤い実は、キリストの流した血を暗示しています。
また、リング状になっているために終わりがなく、永遠の命を表しています。
そして、常緑樹であるヒイラギや松が用いられることで、生命力や普遍性を意味しています。また、リンゴやブドウなどを用いることで、豊穣を祈願しています。
リースの起源は、古代の南ヨーロッパにあるようです。紀元前8世紀頃からイタリア半島に住み始めたエトルリア人は、金や貴金属で植物の葉を模して造ったリースを冠として使っていたようです。ツタ、オーク、オリーブ、ギンバイカ(myrtle)、月桂樹(laurel)、コムギ、ブドウなどが表現されています。
そして、古代ギリシャ人や古代ローマ人は、エトルリア人の意匠や風習を受け継ぎました。リースは、身に付ける人の職業、地位、業績などを反映した装飾品、特に、冠として利用されました。そして、ゼウスの息子であるアポロが頭に身に付けていたことから、勝利、業績、地位を示すものとして、一般的に常緑樹である月桂冠が用いられます。それ故、オリンピックの勝者、イタリアの卒業生は、月桂冠を被ります。また、オークなどのような、月桂冠以外の植物もリースの素材として用いられます。
他方、キリスト教が浸透する以前の古代ヨーロッパは、アニミズムが広まっていました。収穫した花、穂、果実を素材にしたハーベストリースは、収穫の感謝や祈願のために作られて飾られました。そして、葉が落ちない常緑樹を素材にしたリースは、生命力や普遍性が備わり、魔除けのために飾られました。
更に、アドベントとは、クリスマスを迎えるための心の準備期間のことですが、このアドベントやクリスマスのために、クリスマスリースが飾られます。16世紀に、ルター派によってアドベントのリースがドイツで初めて飾られました。これ以降、クリスマスリースが広まっていきました。これは、ドイツでクリスマスツリーが発展したことと関連があるかもしれません。
実際にクリスマスリースを飾る期間ですが、クリスマス前のアドベント、及び、クリスマスを含む期間だけではなく、クリスマスを過ぎてからも飾られます。2月2日の聖母お清めの祝日までという人もいれば、クリスマスから12夜経った1月5日までという人もいるようです。
日本では12月26日にはクリスマスリースは外されて、新年のためのしめ縄や門松を飾ることが多いです。
市販のクリスマスリースもよいですが、自分で作って飾るのも楽しみとなります。
最近は、100円ショップでクリスマスリースの材料や素材が手に入ります。リースやオーナメントという基本となるものから、リボン、ワイヤー、麻ひもなどもそろえられます。
自分のお気に入りのクリスマスリースを作ってみてはいかがですか。
以上より、クリスマスリースは、キリスト教以前のアニミズム的風習とキリスト教が融合したものであることが分かりました。そして、魔除けや祈願のために家に飾られるのです。また、ヒイラギの葉のトゲがキリストの受難を暗示していたり、ヒイラギの赤い実がキリストの血を暗示していたりしているように、各部分で意味を有しています。
それでは、意味合いを理解したところで、クリスマスリースを飾って、楽しいクリスマスをお過ごしください。
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