クリスマスといえば、子供達にとっては、プレゼントを届けてくれるサンタクロースが一番気になる存在として思い浮かんでくるのではないでしょうか。その風貌として、赤い服を身にまとって、赤い頬をした白いあごひげの老人を世界中の誰もが画一的にイメージすると思います。そして、トナカイの引くそりに乗って、子供達の住む家々を回り、煙突から入ってプレゼントを置いていくという光景を思い浮かべます。
果たして、このサンタクロースとは何者なのでしょうか。
かつて、東ローマ帝国にいたキリスト教の主教に聖ニコラオス(聖ニコラス、聖ニコラウス、Saint Nicholas)(270-343年頃12月6日)が、サンタクロースのモデルとされています。
幾つかのエピソードが残されていますが、最も有名なものが以下のものです。すなわち、聖ニコラオスが司祭になる前に、近所に住んでいた貧乏な3人娘がお金のないために結婚できず、挙げ句の果てに身売りさせられそうになっていました。それを知った聖ニコラオスは、3夜続けて金製の珠を窓から投げ込み、そのお陰で娘達は結婚することができたのでした。これが、後にプレゼント伝説として広まったようです。
1071年に、コンスタンティノープルから聖ニコラオスの遺骨がイタリアのバリ(Bari)という街に運ばれたときに、聖ニコラオスの伝説がヨーロッパに広まりました。
実のところ、サンタクロースの原型はこの聖ニコラオスとされていますが、現在のサンタクロースは、オランダのシンタクラース、アメリカのサンタクロース、イギリスのファーザークリスマスが融合したもののようです。
12月6日の聖ニコラオスの日の前日に、オランダでは、シンタクラース(Sinterklaas)が子供達にプレゼントを贈ります。シンタクラースは11月15日にスペインから、ズワルトピートと共に船に乗ってオランダにやってきて、12月5日に良い子だけにプレゼントを渡します。何故、スペインかというと、聖ニコラオスの遺骨のあるイタリアのバリという街が、アラゴン王国という後にスペインとなる国に征服されたからです。また、子供達の守護聖人だけではなく、船乗りの守護聖人にもなっていました。
ズワルトピートは、子供が良い子か、悪い子かを調べてきてシンタクラースに知らせる役目を担っています。しかし、シンタクラースに加えて、ズワルトピートも、子供達にはとても人気となっています。
更には、オランダの子供達は、12月24日にもプレゼントをもらえるようです。
17世紀に清教徒革命が起こりましたが、その結果、プロテスタントによりクリスマスがカトリック的な行事とされました。そのため、王党派は、古き良き時代の象徴として、既にクリスマスのシンボルとなっていたファーザークリスマスを担ぎ出しました。ところが、王政復古がかなって以降、ファーザークリスマスは政治的な役目を終えたようで、18世紀後半から19世紀にかけて、Mummers playと呼ばれるクリスマスに行われる素人演劇の中でファーザークリスマスはその姿を見せていました。
ところが、ビクトリア時代になると、クリスマスが子供達を中心にした家族的な行事へと変容していきました。そして、アメリカからサンタクロースが1850年代に伝わり、それまで子供達とはあまり関係のなかったファーザークリスマスがサンタクロースに代わってプレゼントを贈る存在になり、1880年代にはその風習は定着していきました。
いわゆる新大陸として再発見されたアメリカ大陸にヨーロッパから多くの人達が移住しました。その中にオランダ人も含まれていて、シンタクラースをアメリカ大陸に伝えました。そして、いつしか、シンタクラースが音声的に似ているサンタクロースに変わっていったのです。
そして、トナカイのそりに乗って子供達の家々を回ってプレゼントを贈るという、現在、私達が思い描くサンタクロースのイメージがアメリカで形成されていったのです。
16世紀に、プロテスタントによる宗教改革でヨーロッパにおけるキリスト教は変革を遂げました。その中で、聖人崇拝に対する嫌悪があったこと、および、子供達の歓心を引くことを理由として、聖ニコラオスこと、シンタクラースが12月5日にプレゼントを配っていた習慣を、イエス・キリストの降誕を祝う日の前日である12月24日にプレゼントを配ることにしたのです。
これが、クリスマスにプレゼントをサンタクロースが配ることの理由となっているようです。
以上より、現在のサンタクロースは、聖ニコラオスを元にするオランダのシンタクラースが、開拓時代にアメリカに伝わって、独自の変化を遂げ、音声的にも似たサンタクロースに変容したのでした。これが、イギリスのファーザークリスマス、および、プロテスタントの反聖人崇拝などとも、融合していき、今のような、クリスマスに子供達にプレゼントを贈るサンタクロースとして定着したのです。
こういう歴史を知ると、サンタコスプレもまた感慨深いものとなって、新たな楽しみ方ができるかもしれません。
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