サンタクロースを乗せてそりを引いているトナカイは日本にいないのですが、一体、どのような特徴や生態を持っているのか、そして、何故、クリスマスにそりをひくのか分かりません、という疑問を持つ方がいらっしゃるようですので、その疑問を解消したいと思います。
日本には存在していない生物ですが、サンタクロースのそりを引く動物としてその存在感を示しています。
トナカイは、偶蹄目シカ科に属し、ユーラシア、北アメリカの北部に生息しています。体長 2m、体高 1.2mであり、体重は最大300 kgともなります。雌は雄よりもやや小柄で、雄だけではなく、雌にも角が生えます。
トナカイゴケといわれる地衣類、ヤナギ、ポプラを主に食べていますが、その他に、草本類を食べます。植物以外にも、レミングなどの小動物をえさとします。
紀元前2000年頃から、乳、肉、毛皮、角、骨を採るための家畜として飼われていました。そして、そりを引かせることもあります。
サンタクロースの直近のモデルであるオランダのシンタクラースは、もともと、東ローマ帝国のキリスト教主教であった聖ニコラオス(聖ニコラス、聖ニコラウス、Saint Nicholas)(270-343年頃12月6日)を原型としています。
このシンタクラースは、スペインから船に乗ってオランダまで来ますが、上陸後は馬に乗って移動します。
シンタクラースは、アメリカへ移住したオランダ人によって伝えられ、サンタクロースとなるのです。そして、移動するための動物も、馬から別の生き物へと変化したのでした。
Thomas Nast(1840-1902年)というアメリカ人が、現在、多くの人が思い描くサンタクロース像を作り上げました。1863年から1886年にかけてHarper's Weeklyに描いた33個のクリスマスの絵の中で、実にその32個はサンタクロースに関するものでした。これにより、あごひげを生やした恰幅のよい男性がサンタクロースとしてイメージ付けられたのです。
そして、1866年12月29日に発行されたHarper's Weeklyに、Santa Claussville, N.Pと小さい字が書かれた絵が描かれています。すなわち、サンタクロースの住む村は北極にあるというのです。
この北極から世界中に住む子ども達のもとにプレゼントを届けるには移動手段が必要になります。そこで、北ヨーロッパやシベリア地方の北極圏に住む動物として、トナカイに白羽の矢が立ったのでした。そりを引く役を担うことになったのです。
1821年に出版された「The Children's friend. Number III A New-Year’s Present to the Little Ones from Five to Twelve」という絵本に、1頭のトナカイの引くそりに乗ったサンタクロースが描かれているのです。
更に、1823年12月23日のThe Troy Sentinelという新聞に「Twas the Night Before Christmas」という題名の詩が掲載されました。この詩の内容は、8頭のトナカイの引くそりに乗って空からサンタクロースが現れて、子ども達にプレゼントを置いていくというものでした。
まさに、現在のトナカイとサンタクロースの姿が19世紀の初頭に作り上げられたのです。
「Twas the Night Before Christmas」に登場するトナカイには、それぞれに名前が付けられているのです。
すなわち、ダッシャー (Dasher)、ダンサー (Dancer)、プランサー (Prancer)、ヴィクセン (Vixen)、コメット (Comet)、キューピッド (Cupid)、ダンダー (Dunder)、ブリクセム (Blixem)の8頭です。
ところが、もう1頭が新たに加わっているのです。それが、赤鼻のトナカイであるルドルフ (Rudolph)です。1939年の「The Red-Nosed Reindeer」に登場しており、更に、これを元にした歌である「赤鼻のトナカイ」で広く知られるようになりました。
雄は、3月頃から袋角が生え始め、10月には立派な角になります。10月から11月の発情期を過ぎた12月には角は落ちてしまっています。雌は、雄よりも袋角の生え始めが遅く、落角の時期は翌年の4月から5月になります。従って、クリスマスに角のあるのは雌のトナカイということになります。
しかしながら、クリスマスのときの絵に描かれるそりを引くトナカイは、体格が大きいため、雌というよりもむしろ雄であるように見受けられます。おそらく、画家はそのようなことを意識していないと思われます。その証拠に、トナカイの名前は雄と雌の両方が含まれています。つまり、雄がダッシャー、コメット、キューピッド、ダンダー、ブリクセム、ルドルフで、雌がダンサー、プランサー、ヴィクセンになります。
この疑問を解決する答えは、去勢した雄はクリスマスの時期でも落角しないというものです。
以上より、ユーラシアや北アメリカの北部に生息しているトナカイがサンタクロースのそりを引く理由が分かりました。サンタクロースが北極に住んでいるので、世界各地の子どもにプレゼントを届けるには、トナカイの力を借りなければいけなかったのです。
それでは、サンタクロースを乗せたそりを引くトナカイに思いを馳せて、10頭目を自負してクリスマスコスプレでトナカイ衣装を着てみるのもよいでしょう。
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