二段ベッドの耐震性
地震の多い日本列島
日本は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートという4つのプレートがぶつかり合う唯一の地域に位置しています。
そのため、陸側プレートの先が沈み込む海側プレートによって形成されたひずみから解消されて跳ね上がった際に起こるプレート間地震が、とても多い頻度で発生しています。この例として有名なのは、関東大震災があります。
また、沈み込む海側プレートによって、陸側プレートに活断層と呼ばれる断層が形成され、その断層がずれた際に、陸域の浅い地震がやはりとても多い頻度で発生しています。この例として有名なのは、阪神・淡路大震災があります。
ですので、危険予知の観点から、二段ベッドが地震の際、どういう挙動をとるかが気になります。
二段ベッドに関する文部科学省の作業部会記事録
震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会（第5回） 議事録（平成22年2月10日（水）10時-12時）を見ると、地震時における退避行動等に関する既往研究の調査結果などについて、議論されていますが、その中で、国崎委員から二段ベッドに関する質疑がありますので、引用します。
「2段ベッドに関しましては、日本の住宅事情で複数子供がいる場合には、部屋数を有効に使うためにも2段ベッドを利用している家庭は非常に多いです。その中で、この2段ベッドが地震時にどのような挙動を示すのかという調査研究が、ほとんど見あたりません。2段ベッドでも、さまざまな形状があります。セパレートで使えるもの、木材のものや鉄パイプのものもあります。まずベッドも含めて物を選ぶときに地震が起きても大丈夫と判断できる材料や判断基準になるような研究が行われればよいと思っています。」
つまり、二段ベッドが地震の際にどういう挙動をとるか、実験的な検証があまり行われていないということです。
実は、地震防災研究を踏まえた退避行動等に関する作業部会（第2回） 議事録（平成21年7月15日（水）16時-18時）を見ると、国崎委員から二段ベッドに関する同じ内容の質疑がなされていますが、半年間、何も進展していないことが分かります。
過去の大地震での二段ベッド
中越地震、阪神・淡路大震災などの巨大地震の際、二段ベッドはどうなったか、検証してみたいと思います。
阪神・淡路大震災において、阪神・淡路大震災 消防職員手記（長田消防署）が残されています。「大震災の救助現場で（1995年3月号掲載・井関 薫）」という記事で、鉄筋コンクリート造の2階建の1階部分が倒壊して、つぶされた二段ベッドと天井の間にいた姉妹を救出したときのことが描写されています。つまり、二段ベッドのお陰で、天井が落ちてきても姉妹はつぶされずに生き残ることができたのです。
阪神淡路大震災の体験手記 「紙のマンション」では、二段ベッドの上で弟が、下で姉が寝ているときに地震が起こったことが書かれていますが、二段ベッドが倒れたり、上下の繋ぎ目が外れたりすることはありませんでした。しかし。紙のマンションと形容されるくらいにマンションの外観は変わり果てた状態になっていました。
二段ベッドは倒れることはないようですが、寝ているときはジェットコースターのような揺れで放り出されてないようにしがみついていたり、実際に放り出されたりということが語られているようです。ですでの、上段のサイドフレームはとても重要と結論づけられます。
また、二段ベッドの上下のジョイント部分が外れたということもあったようですが、確証が取れていません。つまり、揺れで外れたのか、天井が落ちたり、タンスが倒れたりして外れたのか、判然としません。しかし、このジョイント部分を補強するに越したことはありません。
二段ベッドの上下の固定方法
大地震の際に、二段ベッドは倒れることはないようですが、場合によっては、上部と下部のベッドを繋いでいる4本の脚の連結部が外れて、上段が落下するおそれがあります。
そこで、最近の二段ベッドは連結が強化されています。素材が木の場合は、二段に積めるタンスでよく見受けられる木製ダボではなく、鉄製ダボで上下を固定しています。これに、上下の2箇所、サイドの穴からボルトで締めて上下が外れないようにしています。
この状態で、I字の固定金具などで脚の上下をつなぎ止めれば、揺れに対する強度は増します。また、壁などにチェーンやL字の固定金具などでつなぎ止めれば、二段ベッド自体が揺れで移動したり、跳ねたりするリスクを軽減することができます。
まとめ
二段ベッドが大地震によって4本脚の書くジョイントが外れて上部のベッドが落下することはあまりなさそうです。しかし、念には念を入れて、I字の固定金具などで補強するといっそう安心です。更に、壁と二段ベッドを固定することで、揺れによって全体が移動したり、跳ねたり、倒れたりすることが抑えられます。
とはいうものの、天井の落下に際してはどうしようもありませんが、場合によっては二段ベッドがいわゆる三角空間として機能して、落下物の隙間を形成して命拾いをすることも過去の大地震ではありました。
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