昨今の日本の住宅から畳が消えつつあります。というのも、メンテナンスがやや厄介であることに加えて、日本人の生活が西洋スタイルに準じたものへと変容したことがその理由に挙げられます。
つまり、畳の代わりにフローリングが床材として使われ、ベッド、テーブル、椅子などの西洋家具がそこで用いられているのです。
このように、日本人の生活は、昔とは異なったものとなっています。
それに伴い、寝具も布団ではなく、ベッドを利用する人も多くなっています。しかしながら、西洋諸国と比べて湿気の多い日本では、思いもよらない問題がベッドで発生しているのです。
長い眠りの時間を過ごすベッドには、いろいろな仕様のものが造られています。単にデザイン的な違いに留まらず、機能的な違いによる差別化が図られています。
その中には、床板が通常のように板状ではなく、すのこ状になったものがあります。これは、すのこベッドと呼ばれています。
ここでは、数多くあるベッドの仕様の中で、すのこベッドに関して理解を深めていきたいと思います。
ベッドの床板には、マットレス、場合によっては布団が載るばかりではなく、人の体重も掛かります。そのため、板状のものよりもすのこ状の床板では強度が落ちることになる危惧があります。
それにも関わらず、床板がすのこになっていることには訳があります。すなわち、通気性がよくなることが考えられます。
一般的なすのこは、隙間をあけて長い板を並べた形状をしています。そのため、この隙間が空気の流れる経路となって、湿気が籠もりにくくなっているのです。これが、すのこが使われる理由となっています。
すのこがベッドの床板に使われるのは、湿気対策であることが分かりました。その最大の湿気の供給源は、実のところ、そこに寝ているヒトそのものなのです。
ヒトが寝ている間、体温の設定温度が低くなっています。そのため、その温度に体温を合わせるために、汗をかいてその気化熱によって体温を下げているのです。
実際、一晩のうちに、約200 mLの量をかいています。意外と多い量ではないでしょうか。これが寝具に吸収されることになるのですから、寝具は湿気を帯びることになります。
この湿気を逃がす機能を担っているのが、床板のすのこなのです。その隙間から湿気が蒸散していきます。
従って、すのこベッドは湿気を帯びにくい構造を備えたベッドであると言えます。
喘息やアレルギーに悩む人は少なくはありません。その原因となる物質であるアレルゲン(抗原)として、カビの胞子があります。
カビは、高温多湿で栄養のある環境を好んで生育します。これは、ヒトが寝ていて汗をかいて、また、体温で温めたベッドにおける環境と一致しています。
そのため、ベッドではカビが発生することが多くなっています。その結果、カビの胞子をアレルゲンとした喘息やアレルギーが引き起こされることになります。
その対策として、すのこベッドが挙げられ、カビの好む環境を創出することを防いでいます。睡眠時の汗による湿気がすのこによって解消されています。
このように、すのこベッドはカビの発生を抑えることができる機能性に富んだベッドであることが分かりました。
すのこベッドに使われているすのこの材料は、プラスティックのものも少しはあるかもしれませんが、多くは木となっています。
木は、湿気を吸収することが可能な素材です。従って、湿気の多いときに木は水分を吸って、乾燥してくると木は内部から水分を放散します。
すのこベッドのすのこに木材が使われていることは、まさに合目的的なことです。更に、すのこの隙間から寝具の湿気や熱が逃げていくのですから、すのこベッドは湿気対策として優れたものであることが理解されます。
通常のベッドと同様に、すのこベッドにもサイズが多く取り揃えられています。シングル、ダブル、セミダブル、クイーン、ワイドなどが用意されています。
使う人数や部屋の広さに応じて、適切なサイズのすのこベッドを選ぶことができます。
以上より、すのこベッドが最近持て囃されています。寝ている間にヒトは多くの汗をかくため、寝具は湿気を帯びてしまいます。それだけではなく、寝具は基礎代謝による熱も帯びています。従って、ベッドはカビが発生する環境が創出されているのです。
カビが生えるとその胞子をアレルゲンとする喘息やアレルギーが引き起こされます。そのため、カビの生えないような措置が必要となります。
その対処法の1つが、床板がすのことなっているすのこベッドなのです。すのこの隙間から湿気と熱が逃げていくので、カビが生えにくくなっています。
それでは、通気性に優れたすのこベッドを用いて安眠ライフを享受してください。