トリック・オー・トリートって何？
疑問確認
トリック・オー・トリートという言葉を子供たちがいっているようだけど、どういうものか知りたい、という疑問を持っている方がいらっしゃるようなので、それに答えたいと思います。
トリック・オー・トリートとは
ハロウィンの日に、子供たちが仮装をして家々を回ってお菓子をもらうときに言う決まり文句が、「Trick or Treat. （トリック・オー・トリート）」になります。お菓子をくれないと、いたずらしちゃうぞ、という意味になります。この際、訪問を受けた家は、「Happy Halloween.」と言ってお菓子を子供たちに渡すことになっています。
訪問には他にも幾つか決まりごとがあるようで、子供たちの訪問の準備の整っている家は、玄関の明かりを点けておきます。逆に、準備の整っていない家や迎えたくない家は、玄関の明かりを消しておきます。そして、お菓子がもらえなかった場合は、一応、いたずらをしてよいことになっています。よくあるいたずらは、生卵を投げつけたり、トイレットペーパーでぐるぐる巻きにしたりすることです。
また、トリック・オー・トリートは、これらの一連の行いを指すこともあります。
トリック・オー・トリートの起源
トリック・オー・トリートの起源
ハロウィンの起源は、アイルランド、ブリテン島、北フランスに住んでいた古代ケルト人が大晦日に当たるサーウィン（Samhain）という収穫感謝祭や悪霊払いにあります。そのとき、晩餐のテーブルには、悪霊に供するための捧げられた食べ物が並べられていたとされています。
やがて、このような風習は、mumming（ムーミング）やguising（ガイジング）という民間のイベント、及び、souling（ソウリング）というキリスト教のイベントを経由して、現在のトリック・オー・トリートに繋がっていると考えられています。
mumming（ムーミング）
ムーミングは、イングランド、スコットランド、アイルランドで行われていた民間演劇です。家々をまわって悪魔や悪霊の格好をして踊りや劇をした際、飲み物や食べ物をもらいました。このムーミングは13世紀頃から行われるようになりました。
主に、クリスマスに演じられていましたが、ハロウィンでも演じられました。
guising（ガイジング）
ガイジングは、スコットランド、アイルランドで、子供や若者が仮装をして家々を巡って、劇、歌、詩の朗読を披露したり、冗談を言ったりして、食事やお金などの施しを受けたものです。このガイジングは19世紀頃から行われるようになりました。
souling（ソウリング）
998年にカトリック教会のクリュニー修道院院長のオディロンによって、11月2日が万霊節、つまり、死者の日として定められました。煉獄の死者のための祈りが執り行われますが、この際、貧しい人々が裕福な家を訪れて、その家の先祖にお祈りを捧げた後、soul cakeというお菓子のようなものをもらいました。これをソウリングと言います。
1950年代のアメリカにおけるトリック・オー・トリート
ユニセフは1950年からTrick-or-Treat for UNICEF!というキャンペーンを始めていて、現在でも継続しています。子供たちが家々まで、ハロウィンに関するユニセフコレクションボックスという橙色の箱を持って届けます。これまでに17.5億米ドル以上のお金が集められました。
スヌーピーで有名なピーナッツという漫画で、トリック・オー・トリートの場面が1951年11月1日に描かれました。その題名は、「Money or Eats」でした。
更に、1952年にはディズニーは、ドナルドダック、ヒューイ、デューイ、ルーイが登場する「Trick or Treat」という題のアニメーションを制作しました。魔女、蝙蝠、ジャック・オー・ランタンが冒頭に登場し、仮装をしたヒューイ・デューイ・ルーイがお菓子をもらいにドナルドダックの家を訪れます。
このように、主にアイルランド移民によってもたらされたトリック・オー・トリートは、1950年代までにはアメリカのサブカルチャーで取り上げられていて、浸透していたことが分かります。
まとめ
以上より、トリック・オー・トリートの起源ははっきりとはしませんが、古代ケルト人がサーウィン（Samhain）という収穫感謝祭や悪霊払いの際に、悪霊への捧げ物として食べ物などをテーブルに並べたことが大本と思われます。
その伝統が引き継がれて、中世に行われたmumming（ムーミング）やguising（ガイジング）という、仮装をして家々を巡り、そこで芸をする代わりに食べ物などをもらう行為になっていったと考えられます。
更に、カトリック教会が1,000年に11月2日を万霊節として定めてから、souling（ソウリング）という訪れた家の先祖に祈りを捧げた代わりに食べ物などをもらうと行為が行われるようになりました。これも、トリック・オー・トリートへ影響を与えているとされています。
これらが、アイルランドなどで伝統として定着し、1845年以降のジャガイモ飢饉のために祖国を離れて移民としてアメリカに渡った際に一緒に持ち込まれました。そして、これがトリック・オー・トリートとして1951年までには浸透していったのです。
それでは、ハロウィンコスプレ衣装に身を包んで、お菓子をもらいに行くことにしますか。
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