薄型チェストの歴史・起源を是非とも知りたい

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■薄型チェストの歴史・起源を是非とも知りたい■

▪現代に生きる薄型チェスト▪

現在、国土に占める平地の少ない日本にあっては、特に都市部において、住宅はあまり広いものではなく、兎小屋と揶揄されるほどの延べ床面積の戸建てや集合住宅が主流となっています。

このような狭い家の中で重宝されている収納家具が薄型チェストなのです。その名の通り、奥行きがあまりないため、狭い家の中でもとりわけ狭い部屋に置いて使用するのに適しています。つまり、洗面所、脱衣所、廊下、クローゼット、カウンターキッチン下のような、従来の厚みと持った収納家具では置くことができなかった狭小スペースに、この薄型チェストは置いて使うことができます。

薄型チェストはとても有能な家具であることが分かりました。ここでは、その起源や歴史を紐解いてみたいと思います。

 

▪日本における薄型チェストの源流の1つは大川家具▪

家具の一大生産地である福岡県大川市では、薄型チェストも生産しています。

大川の家具生産はとても歴史が古く、室町時代に榎津久米之介によって、木材の集積地に船大工の技術をもって始められたものです。

戦後、このような伝統技術に、工業デザイナーの河内諒によるデザインが新たに加えられた家具が造られるようになりました。その代表的なものが、引き手のないデザインである「引き手なしたんす」です。そして、このデザインは、薄型チェストによく似ていて、まさに引き手なしたんすの縮小版が薄型チェストになります。

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▪チェストとは▪

そもそもチェストとは、引き出しを持つ西洋たんすのことで、チェスト・オブ・ドロワーズ(chest of drawers)という名称が正式になります。また、西洋たんすという点で、西洋が発祥であることが分かります。それから、北米では、ビューロー(bureau)と呼ばれることもあります。

しかし、今の日本ではとてもメジャーな存在となっていて、人気の収納家具として家の多くの部屋で使われています。

薄型チェスト、及び、引き手なしたんすもチェストという範疇に入ります。従って、チェストのことをもっと掘り下げて探ってみると、全体的なことがつかめると思われます。

 

▪西洋におけるチェストの起源▪

チェストの起源は、長持や櫃(ひつ)のような蓋付きの箱です。旅行のために使われたり、食料を保存したり、衣装や持ち物を保管したりしました。

このような箱は、包み蟻継ぎという組み継ぎの技法を用いて、古代エジプトで既に造られていました。すなわち、彫刻や金属細工や宝石が施された、儀式で使う埋葬の棺などが始まりになります。これが、古代エジプトや古代ギリシアでは、先述のように衣装や持ち物を仕舞うために使われるようになりました。

 

▪西洋におけるチェストの発展▪

チェストはやがて中世になると、木製の蓋付きの箱は発展を遂げます。16世紀には2つのタイプのチェストが造られるようになりました。

1つ目が、釘を用いて板で作られた箱です。しかし、木の収縮で割れたり、反ったりするのが難点でした。

そして、2つ目が、16世紀後半に登場したもので、木枠の中に板を収めた構成で作られた箱です。つまり、一枚板を用いずに複数のパーツからなるため、木の収縮の影響を受けにくいのです。

そして、彫刻や装飾に加えて、ほぞ接合、ピン蝶番、ストラップ蝶番、金属、錠などの技法が用いられ、チェストはとても洗練された箱になっていきました。

時代の芸術様式が取り入れられ、例えば、ゴシック様式の透かし細工のような模様、アーチが施されました。また、フランドル地方のリンネルひだ彫りも施されたりしました。それから、ルネサンスの花柄や渦巻模様もあります。実に様々な模様で飾られ、芸術作品のようにも感じられます。

ルネッサンス期になるとイタリアではカッソーネと呼ばれた長方形の蓋付きの箱が14世紀から16世紀に掛けて使われました。とても豪華な彫刻が表面になされています。

 

▪海賊の使ったチェスト▪

カリブで活躍した海賊は、集めた財宝をチェストのような箱に入れていました。まさに海賊のお宝といえば、この箱がイメージされます。

 

▪脚付きの箱から、引き出したんすへ▪

長持や櫃に脚が付けられたことで、以後の変遷に変化が見られました。腰掛け代わりにもなっていた箱は、椅子へと変化しました。収納となっていた箱は、食器棚、サイドボード、そして何より、いわゆるチェストに変化しました。その変化の過程で引き出しが付けられて、今のようなスタイルのチェストになったのです。

 

▪現在の西洋でのチェスト▪

ヨーロッパで現在使われているチェストは、主に寝室で使われ、衣類を仕舞うのに使われているようです。これは、寝室に限らず、多くの部屋でチェストを使っている日本とは違います。その違いが、薄型チェストという奥行きのない収納家具を創出させたのかもしれません。

 

▪まとめ▪

以上より、チェストは、古代エジプトで使われた儀式のための箱がルーツであることが分かりました。これがやがて日常品の収納に使われるようになり、中世ヨーロッパで緻密な彫刻が施された芸術的な箱にまで昇華しました。他方、脚が付けられたことで、家具として変化が見られ、引き出しのある現在のようなチェストになったのです。

それでは、古代エジプトまで遡る薄型チェストを使って、悠久の歴史ロマンに浸るのもよいのではないでしょうか。


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