李朝家具の魅力となる素朴さと温もり

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■李朝家具の魅力となる素朴さと温もり

▪家具がかもし出す癒やし▪

落ち着く空間を創出するのは、やはり木の温もりが感じられる素朴な家具であるということに異論のある人はいないのではないでしょうか。

湿潤温暖気候に属する地域では、四季という季節の巡りがあります。そのため、その移り変わりに伴って、花が咲いたり、新緑が芽吹いたり、紅葉が鮮やかだったり、雪の潔さを感じたりします。こうして、自然に対して親近感を抱くようになるのです。

そのため、家の中に、自然そのものを象徴する木製品があると、とても癒された感じになります。

 

▪韓流ブーム▪

「冬のソナタ」という韓国ドラマがテレビで放映されて一大ヒットとなりました。これ以降、韓国のドラマやアーティストが日本で人気となり、韓流ブームと呼ばれています。

しかしながら、歴史を紐解いてみると、日本では何度か、韓流ブームが起こっています。その最たるものは、安土桃山時代に茶の湯の世界で、高麗物として朝鮮半島で造られた茶碗が持て囃されました。

その後、大正時代になると、浅川伯教・巧兄弟、柳宗悦らによって朝鮮の磁器や家具の良さが改めて見直されました。

こうして、現在の日本において、朝鮮文化が評価されるとともに、日常の中に取り入れられているのです。その一端として、素朴さが人気となっている李朝家具について見識をここで深めてみたいと思います。

 

▪李氏朝鮮とは▪

朝鮮の歴史として、幾つかの王朝が交代してきましたが、現在の朝鮮に文化的に大きな影響を与えたのが、李氏朝鮮です。

朝鮮王朝とも呼ばれる李氏朝鮮ですが、1392年に李成桂によって始められ、1910年まで500年間以上の長きに渡って続きました。

官吏の登用試験である科挙の制度があり、これに合格すると高級官僚である両班(ヤンバン)になることができました。文官である文班(ムンバン)、および、武官である武班(ムバン)からなります。支配階級として、国政や地方行政に大変影響を持ちました。

また、朝鮮王朝時代には文化的にも現在に繋がるものが多く生まれました。その代表的なものがハングルという訓民正音で、15世紀に作られました。それから、高麗の焼き物の流れを汲みつつも、青磁の他に白磁も作られるようになりました。

 

▪人気となっている李朝家具▪

現在、アンティーク家具の中でも李朝家具は特に人気を博しているカテゴリーとなっています。

この李朝家具は、李氏朝鮮時代に造られた木製家具のことを指しています。

そして、主に両班によって使われていた家具が、今で言うところの李朝家具なのです。知識階級でもあり、支配階級でもあった両班は、儒教の教えに則って、装飾のあまりない質素な家具を使いました。すなわち、清雅であり、簡潔であるのです。

書斎などに置いて、執筆や読書に従事するのに、これらの家具が役に立ったのです。

 

▪李朝家具の種類▪

両班の持つ思想を反映して、李朝家具には余計なものはほとんどありません。しかしながら、細部に目を凝らすと、巧みな加工や細工が施されています。

主に、両班の書斎に置かれて利用されていた李朝家具の種類には、それが反映されていて、書案(文机)、本箱、文匣(文庫)・卓子(本棚)、ヤクジャン(薬箪笥)などが挙げられます。

また、女性が使用していたものには、ジャン(箪笥)、座鏡、長机などがあり、装飾金具が付けられていました。

このように李朝家具には、用途に合わせてさまざまな種類があります。

 

▪選び方▪

購入に際して李朝家具を選ぶポイントは、サイズ、色、仕様、材質、保存状態であると言えます。

日本の住宅は狭小である場合が多いため、きちんとサイズを測って、置きたい場所にきちんと収まって、更に、引き出しや扉を開くことなど、使用に問題がないか予め確認しておくことが重要です。折角買ったのに部屋に置けなかったということのないようにしなければいけません。

色としては、格調があって落ち着きのある濃い色の家具がほとんどです。中には、装飾家具の施されているものもあります。

材質は木であることは言うまでもありませんが、単一の木でできているだけではなく、紫檀、桐、松などが組み合わされて造られているものもあります。堅さや杢目など、適材適所に材料が使われています。

用途として、本棚、小物入れ、飾り棚などがあります。ヤクジャン(薬箪笥)は、小物を入れて使うのに適しているのでとても人気となっています。

また、保存状態が良いに越したことはありません。しかし、デザインなどの面で優れていたものであれば、補修や修理をすることも有効で、家具も喜ぶことでしょう。

何よりも、お気に召すものが一番であることは間違いありません。

 

▪高麗物の焼き物との相性▪

李朝家具は、黒や飴色のような濃い色を呈しているものが多くなっています。そのため、淡い色の小物を置くと引き立てられます。

白磁の壺や茶碗などが李朝家具の棚に置かれている様は、とても絵になる光景です。明暗の色のコントラストが、その前にいる者に対して鮮やかさを放っています。

 

▪まとめ▪

以上より、人気となっているアンティークである李朝家具は、儒教の影響を受けていた両班という李氏朝鮮の高級官僚が書斎で愛用していたものです。

そのため、清雅と簡潔を兼ね備えた家具は、素朴な感じがします。そして、自然を感じさせる木で出来ているため、部屋の中に存在するだけで安らぎを体感することができます。

また、いろいろな種類や大きさがあるので、使用用途に適ったものが見出せると考えられます。

それでは、李朝家具を書斎などに置いて、落ち着きのある雰囲気の中で仕事や読書にいそしむのもよいのではないでしょうか。

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