■木製家具に見受けられる年輪や木目について

▪木材が使われる家具に見られる美しき木目▪

木製の家具を使う際に、美しい木目は非常に魅力的で、その存在感を感ぜずにはいられません。それは、天然の産物であるため、全く同じ模様はありません。それ故、自然の雄大な営みが端的に表されていると言っても過言ではありません。木製家具に温もりを感じるのは、そういう理由があるのかもしれません。

そして、本物ではないのも関わらず、印刷で木目をプリントしたものを合板に貼るという行為は、木目が存在すると自然を感じるために癒される効果があるからではないでしょうか。

ここでは、このように素晴らしい木目に関して概観・検証することにしたいと思います。

 

▪木目とは▪

木材を切った断面に見られる年輪や導管などが刻みだした模様のことを木目（もくめ、きめ）と言います。また、木理（もくり）、という言い方もあります。

特に、模様に焦点を当てた場合、杢目（もくめ）という表現がなされます。

 

▪木目の種類▪

木目は、その模様の特徴から、柾目、板目、杢目という分類がなされます。

 

柾目は、木の中心である樹芯を通るように縦に切った際、平行な縞模様をなす木目のことです。太い丸太でないと柾目を取ることができないので、一般的に高価な材となります。

板目は、樹芯とは異なる箇所を縦に切った際、山形や波形の模様をなす木目のことです。板目材は乾燥によって反ることがありますので、乾燥を充分にする必要があります。

杢目は、板目の中でも、芸術的な模様を呈した木目のことです。特に美しいものはとても希少性があります。

 

▪バーズアイ▪

杢目には幾つかの種類がありますが、中でも、バーズアイというものがよく知られていて、人気となっています。

すなわち、美しく現れた点状の木目をバーズアイと呼んでいます。また、鳥眼杢や鳥目杢とも言われます。その名の示すように、鳥の目のような斑状の木目で、カエデ科の広葉樹に見られるものです。とても貴重なもので、高級家具に用いられてきました。

それ故、バーズアイの家具を所有することができたら、愛着を持って使っていただきたいと思います。

 

▪年輪年代法▪

家具に見られる美しい木目ですが、その形成には規則性があります。すなわち、形成層の成長は春がもっとも早くて、夏になるとそれがゆっくりとなり、更に秋にはその成長が停止します。こうして、1年を経ると、成長の早い粗の部分と成長の遅い密の部分からなる粗密の輪が形成されるのです。

しかしながら、年に因って天候や寒暖が異なってきます。暖かい年は、形成層の成長が早くなって、前年からの木目の間隔が広くなります。逆に、寒い年はその成長が遅くなって、前年からの木目の間隔が狭くなります。

これが1年ではなく、数年分の木目をまとめて見れば、縞模様は固有化されると考えられます。つまり、間隔において全く同じ縞の木目模様は、確率的にほとんどないと思われます。それ故、数年分の木目が同じ特徴を持っているものが、他に存在すれば、両者は同じ年代に形成された木目であると帰着されます。

従って、木目の特徴が分かれば、その木目が形成された年代を特定することが可能となるのです。更に、重なり合う部分を少しずつ重ね合わせていくことで、全ての年代の木目が標準として規定されます。

そして、この木目の年代標準に照らし合わせて、任意の年輪のある木材が切り倒された年代を特定することができるのです。これを、年輪年代法と呼んでいます。切り倒された年が分かれば、その木材を使った建物が建てられた年代を推定することが可能となるのです。

論理的には、家の家具に使われている木材が切り出された年代を年輪年代法によって特定することは可能なのです。そして、この木目が太古の昔と繋がっていると想像すると、自然の存在のみならず、悠久の歴史の浪漫も意識させられるのではないでしょうか。

このように、木目は、視角的な見た目の美しさだけではなく、学術的にもとても役に立っているのです。

 

▪無垢材と突き板▪

貴重な杢目の無垢材はとても希少なものであるため、高価なものとなってしまいます。そこで、杢目の出ている板をスライスして、土台となる別の板に貼り付けたものを突き板と言います。

この突き板は、全てが無垢材ではないため、リーズナブルな価格となっているので、充分、手の届く価格帯に収まっています。そのため、突き板の家具を持つことで、希少性のある杢目を日常的に楽しむことができるのです。それ故、手軽に杢目を楽しみたいという場合に適しています。

 

▪まとめ▪

以上より、家具などの木目には、自然の温もりを感じられます。そして、柾目、板目、杢目の種類があります。特に杢目は、美しい模様を呈していてとても希少で、多くの愛好家を魅了しています。そして、美しい杢目を有した突き板であれば、それほど高くない値段で入手することができます。

それでは、身近な家具に備わっている木目をちょっと注意深く観察してみて、新たな発見を見付けてはいかがでしょうか。