狭い廊下に置ける収納家具はないかしら

■狭い廊下に置ける収納家具はないかしら

▪お悩み確認

廊下にも収納が置けたらいいけど、もしかしたら通れなくなるかもしれません、というお悩みを持った方がいらっしゃるようですので、その悩みを解消したいと思います。

▪薄型構造の家具

かつてはブラウン管のテレビが家庭にはあり、その上に、イタリア土産のピサの斜塔の置物やフランス土産のエッフェル塔の置物などが置かれていました。しかし、昨今は、デジタル化が進み、テレビは液晶や有機ELなどを用いた薄型テレビと変わりました。その結果、薄型であるために上に物は置けなくなりましたが、省エネルギーに加えて、省スペースが図られたのです。

つまり、薄型になると狭い空間でも設置でき、しかも、薄型の物が持つ本来の機能が損なわれることはないということです。

しかしながら、テレビの上に物を置くことができなくなったため、ピサの斜塔やエッフェル塔の置物を土産として買う日本人観光客がいなくなったと、海外旅行の際に添乗員が言っていました。世の中は徐々に移り行く宿命にあるようです。

▪薄型チェスト

チェストの中でも奥行きのあまりない仕様のものを薄型チェストといいます。その奥行きは、およそ30 cmとなっていて、通常の仕様よりも文字通り薄くなっています。

このように通常の仕様とは異なる特性を持つため、通常とは違う使い方が新たに創出されるのです。その最も想定される使い方が、狭い空間に置いて収納として用いることです。もっとも、実のところを言えば、これをコンセプトにして開発された製品が薄型チェストなのです。

さて、家の中を探すと収納家具を置きたいけど、狭くて置くことができないと思い込んでいる箇所があるかもしれません。例えば、狭い空間と考えられる廊下はどうでしょうか。

▪昨今の日本家屋の廊下事情

日本の家は、都市部では広い土地の確保が物理的に、そして、金銭的に困難なため、一般的に延べ床面積は狭くなっています。そして、3階建ての家を建てる技術が発達して狭小な土地でも延べ床面積を広くすることができるようにはなりましたが、規格化された寸法での工法であるたため、幅や高さなどは大体同じようなものとなっています。

そのため、廊下の幅や高さも規格化されたものになっています。すなわち、廊下の幅は約78-90 cm、高さは約240 cmが一般的になっているのです。

こう見てみると、やはり日本の家屋における廊下は、幅が狭いものであると言えます。戸建てに関わらず、マンションやアパートも同様に廊下は狭いです。

▪廊下に置く薄型チェスト

幅が狭い廊下には一般的に収納家具は、邪魔になってしまうので置かれていないと思われます。しかし、薄型チェストは奥行きがないので廊下に置いてもそれほど邪魔にはならないのです。

廊下の幅を約78-90 cmとすると、30 cmの奥行きの薄型チェストを壁に寄せて置いた際の残りの幅は約48-60 cmとなります。決して人が通れない幅ではありません。60 cmもあれば充分かもしれません。

▪当たり傷も許容できる薄型チェスト

移動するための通路である廊下を、物を持って歩くことはしばしばあると考えられます。例えば、買い物に外出して帰って来た際に荷物を抱えていたり、洗濯物をかごに入れて物干しまで運んだり、その他、様々な事象が想定できます。

従って、確率論的に、廊下に設置した薄型チェストの奥行きがいくらないといっても、物を薄型チェストにぶつけてしまうことは起こり得ることです。

しかし、薄型チェストは、フラッシュ構造であり、また、本体が小型なので原材料が少なくて済むため、価格はそれほど高くはありません。買った当初は、当たり傷を付けないように気になるかもしれませんが、その注意力はそう長くは持続されず、当たり傷を付けることが気にならなくなる値段です。

仮に、薄型チェストに気になるほどの当たり傷はできたとしても、補修グッズを用いて直すことは充分可能です。また、思い切って、DIYにより、表面材を代えたり、色を塗り替えたりなどして自分好みの薄型チェストにすることもできます。

▪薄型チェストの上部の利用

玄関から通じている廊下に薄型チェストを置く場合では、薄型チェストの上に花生けを置いて花を生けて飾るのも季節感があって素晴らしいと思います。

また、薄型チェストの上部の壁に、額に入れた絵画を掛けたり、掛け軸や色紙を掛けたりするのも、家の印象が変わったものになるでしょう。

▪まとめ

以上より、幅が狭くて収納家具が置けないと思っていた廊下でも、奥行きのない薄型チェストならば置けることが分かりました。そして、単に置けるだけではなく、人が通行することもできるのです。また、薄型チェストの上部は、花を生けたり、絵や軸を掛けたりとちょっとした文化スペースにも活用することで、心豊かな生活となります。

それでは、狭いと思っていた廊下に薄型チェストを置いてみて、デッドスペースの活用を試みてはいかがでしょうか。