近年、大変な盛り上がりを見せているハロウィンコスプレですが。その中でも、吸血鬼であるヴァンパイア(バンパイア)は特に人気のある衣装の1つとなっています。
ハロウィンの起源は、古代ケルト人の行っていたサーウィン(Samhain)と呼ばれるもので、夏の終わりと冬の始まりの時季となる、大晦日に当たる10月31日に実施されていました。この時期は収穫の恵みがもたらされるだけではなく、サーウィンのときにはこの世とあの世の境があいまいとなって死者の魂や悪霊が現世に現れると信じられていました。そのため、人々は悪霊や悪魔などから身を守るために、悪霊や悪魔と同じ格好をして同胞の振りをして難を逃れようとしました。
これが現在のハロウィンコスプレに繋がっているのです。そのため、基本としては、邪悪なものの格好の衣装をすることが王道になっています。故に、ヴァンパイアや魔女などの仮装が行われるのです。
定義として、ヴァンパイアとは、生き血という生命の源を吸って生き長らえる、一度死んだ人間が蘇った不死の存在です。そして、ヴァンパイアによって血を吸われた人間もヴァンパイアになると考えられています。
「Travels of Three English Gentlemen」という題名の1734年に刊行された紀行記にvampyreという英単語が初めて登場します。しかし、その起源はもっと昔にあって、メソポタミアの住民、ヘブライ人、古代ギリシア人、ローマ人などの古代の人々が悪霊や精霊に生け贄の肉体や血を捧げたのが、いわばヴァンパイアの始まりであると
言えます。
ところが、現在のヴァンパイアのイメージ像と同じようなものが認められるようになるのは、各地の口承物語が記録されて、18世紀初頭以降に書物が出版されるようになってからです。この時期に、先に述べたようなヴァンパイアのイメージ像のおおよそが確立し、やがて映画で題材として取り上げられて脚色が加えられたりして、現在に至っているのです。
18世紀には、東ヨーロッパでヴァンパイアが目撃されました。つまり、1721年に東プロシア、1725年から1734の間にハプスブルク君主国において、ヴァンパイアとおぼしきものによる襲撃がありました。
現在のルーマニアのトランシルバニア地方は、吸血鬼伝説で有名な場所です。
18世紀の東ヨーロッパでは、ペスト(黒死病)などの疫病などが発生し、これが原因で死んだ人達が土葬で埋葬されました。しかし、中には、死んだと思われたが実は生きている人も埋葬されたようで、これが、死者が蘇ってヴァンパイアになったのだとされました。そして、何かの理由で掘り返されたときに、黒死病と呼ばれる所以となる異常な屍、そして、口や鼻などから出た体液が、まるで血でも吸ったかのように見えたことなどが吸血鬼伝説の実態なのかもしれません。そして、伝染病であるため、ヴァンパイアによって血を吸われた人間もヴァンパイアになるという伝説とも矛盾しません。また、コレラやペストなどの疫病の流行地域と吸血鬼伝説のある地域はとても一致しているのです。
19世紀半ばには吸血鬼退治キットが売り出されました。吸血鬼退治キットは、トランシルバニア地方などに出掛ける人向けに発売され、十字架、聖書などの道具が収められていました。
アイルランドの作家であるブラム・ストーカーが1897年に刊行された『吸血鬼ドラキュラ』の主人公が、ドラキュラ伯爵です。従って、吸血鬼として一緒に扱われてしまうドラキュラとヴァンパイアですが、ドラキュラは固有名詞で、ヴァンパイアは普通名詞であることから、性質が少し違うことになり、ドラキュラは比較的新しいことが分かります。
ドラキュラ伯爵は、トランシルバニアの古城で、昼は棺の中で眠り,夜になるとは起きて人の血を吸いますが、あるとき、イギリスに現れます。そして、ヴァン・ヘルシング博士達によって退治されてしまう、という話です。
モデルとされているのが、ドラキュラというニックネームを持った、15世紀のトラキア公国の領主であるヴラド・ツェペシュ公です。オスマントルコとの戦いにおいて、2万人のトルコ人とブルガリア人を杭に刺して殺害したことから、串刺し公とも呼ばれています。このような残虐なイメージとトランシルバニアの吸血鬼伝説が結びついてブラム・ストーカーは、ドラキュラ伯爵というキャラクターを生み出しました。
実のところ、ヴラド・ツェペシュ公は地元では英雄として尊敬を集めています。
ヴァンパイアを題材とした数多くの映画が作られています。
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(1994年公開)、「トワイライト〜初恋〜」(2009年公開)、「ヴァンパイア」(2012年公開)などがあります。
詳細は、映画ソフトをご覧になってください。ハロウィンコスプレのヒントが得られることと思われます。
以上より、ハロウィンコスプレの衣装としてよく着られるヴァンパイアに関して理解を深めることができました。人の血を吸うとされているヴァンパイアですが、科学の発達していなかった時代に、ペストなどの疫病で多くの人が謎の死を遂げる過程で、その原因が分かりませんでした。その原因の1つとしてヴァンパイアが担ぎ出されたと考えられます。そして、このヴァンパイアはサブカルチャーの題材として独特の存在感を出しています。
それでは、ハロウィンコスプレでヴァンパイアの仮装をお楽しみください。
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