サイコロ茶会 主題「変な画」に参加して
昨日は、zoomを利用した茶会に参加しました。
京都女子大学准教授・前崎信也先生、一茶庵・煎茶家・佃梓央先生、茶人・中山福太朗先生に加えて、今回のゲストとして、大阪国際大学准教授・村田隆志先生が亭主役を勤めました。
テーマは、「変な画」で各々の持ち寄った興味深い絵などを話題としてサイコロの目に左右された一時を愉しみました。
手術台のうえのミシンと雨傘の偶然の出会いのように、すばらしい(『百頭女』、アンドレ・ブルトン)という、本来とは異なった環境に置くというデペイズマン(dépaysement)の手法によってシュルレアリスムの文学や絵画が描かれました。
このような企図の絵画や散文・韻文は日本にも存在するようです。
吾妹兒之 額尓生流 雙六乃 事負乃牛之 倉上之瘡
(私の愛しい女の額に生えている、双六の、牡牛の鞍の上のできもの)
吾兄子之 犢鼻爾為流 都夫禮石之 吉野乃山爾 冰魚曾懸有
(うちの人が褌にする丸石の形宜しい吉野山に、小鮎の稚魚めがぶら下がっているわ)
右歌者,舍人親王令侍座曰「或有作無所由之歌人者,賜以錢帛。」
于時大舍人安倍朝臣子祖父乃作斯歌獻上。登時以所募物錢二千文給之也。
『万葉集』巻第十六 三八三八・三八三九
さて、今回、登場してきた「乕山老樵」という賛に対して、大蒜と里芋の画が書かれているものも、理解に苦しむものです。
ちょっと調べてみたところ、「虎山樵者」という遊印の押された甲斐虎山(乕山)の軸、そして、中国人の臥虎山樵の軸があるようなので、乕山老樵は作家名かもしれません。
朱印の落款は誰のものなのでしょうか。
それから、豆画帖は、美術館の展示室では一枚ずつを見ることはできませんが、このサイコロ茶会ではそれが可能となります。
本来、煎茶会などで皆が覗き込んで楽しんだもののようです。
その中に、砕巌居士の描いたものには、「白眼看他世上人」という賛に、座った老人の画が書かれています。
人の悪いところ見ても切りがなく、それよりも、景色を眺めて楽しんでいる方がよい、ということです。
SNSで他人の批判が多く書かれている時世には、なかなか辛辣なものではないでしょうか。
それ以外にも、多くの変な画が紹介されましたが、詳細は主催者の発表をご覧になってください。
次回は、11月開催予定ということですので、zoomを使って全国の皆様も参加されてみてはいかがでしょうか。