大阪の茶室で体験する七夕

七夕は、天の川によって隔てられた彦星と織姫が一年に一度だけ会うことを天帝から許された日です。

現代の茶の湯において、七夕を趣向とした茶会がよく行われます。

しかしながら、千家流では、原則として恋歌の掛物は、千利休の追善茶会のときにのみ、利休の御魂を慰めることを目的として掛けられるようです(註)。

今回、藤原興風の詠じた七夕の和歌を益田鈍翁が書いた軸を用いて茶の湯を楽しみました。

これは類推解釈すれば、鈍翁の御魂を慰めることになると考えられます。

そこで、鈍翁が庇護した職方の作品なども交えて、七夕の趣向で一時を過ごしました。

 

以下のような趣向でお茶を楽しみました。

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寄付待合

軸 竹月図 橋本関雪筆

短冊 澤庵和尚(冥之)筆 「まつにうく別につらきならひかは おもひも戀も深き夜の月」

短冊 柳原白蓮筆 「ほしそらにきみはかなたに吾はこゝに月まろきよはあひ思はむと」

 

本席

軸 和歌 益田鈍翁筆 「契りけむ心ぞつらきたなばたの年にひとたびあふはあふかは」(藤原興風)

花 桔梗 蛍袋

花生 仙叟箆筒写 二代瓢阿造

香合 平独楽香合 三代喜三郎造

釜 万代屋釜 敬典造

風炉先 更紗(バティック) 紺々堂製

棚 玄々斎好 更好棚 可映造

水指 染付山水図水指 井上春峰造

茶碗 赤楽 火前印 了入造

茶入 瀬戸肩衝 鈍阿造

仕覆 宝尽金襴

薄器 松唐草中棗 筑城筑良造

茶杓 山里 三代瓢阿造

蓋置 大三角赤楽蓋置 得入造

建水 唐銅フエゴ 金谷淨雲造

水次 腰黒薬缶 古宇小品堂製

主菓子 水柳 菊屋製(大阪)

銘々皿 デルフト焼染付皿

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茶碗 織部窯茶碗 初代春鼎造

薄器 松唐草中棗 筑城筑良造

茶杓 天の川 宗巨造

干菓子 早瀬の水 短冊 河藤製(大阪)

干菓子器 螺鈿塗四方盆 青紫園造

 

それでは、皆様も七夕の趣向で茶の湯をお楽しみ下さい。

 

註、「恋歌と茶の湯」、岩井茂樹著、『淡交』、2008年6月53 P.84-P.88

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大阪の茶室で体験する七夕” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 盛美庵様

    一昨日はありがとうございました。
    久方ぶりの大阪、しかもお茶でのひと時素敵な茶室とお道具の数々、そして庵主様との深ーいお話し。とても良い時間を過ごせました。
    あのお席を私一人で独占するのも勿体ないので、次回は連客を呼べるようにいたします。
    8月京都の吉田鶴栖居様の月釜をご紹介できればと思います。
    今後ともよろしくお願いします。
    ブログへのコメントをもって後礼のご挨拶とさせていただく無礼をお許しくださいませ。
     
    令和二年7月6日

    三五夜  黒田久義

    1. sehbi-an より:

      先日は当庵にお越し下さり、ありがとうございました。こちらこそ、とても良い時間を過ごすことができたことを感謝します。8月の京都での茶会の件、了解しました。宜しくお願い致します。

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