利休百首ならぬ、ニーチェ百首 第90首
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、19世紀の有名なドイツの哲学者です。
現代の私たちにとってとても役に立つ多くの言葉を残してくれました。
その1つに次のものがあります。
「人は常に前へだけは進めない。引き潮あり、差し潮がある。」
長い人生の中で、人はいつも順調に事が運んで前に進めるわけではありません。
ときには、後ずさりしたり、前進したりしながら、最終的には、前に進んでいるのです。
後退しているときに何かしらの打開策を練っているものです。
「稽古とは一より習ひ十を知り十よりかへるもとのその一」
(稽古とは一から習い始めて最終的に十を知ることですが、十を知ったら始めの一に立ち返ってみるものです)
という利休百首の第90首と通じるところがあると感じられます。
稽古が進んだ際に、改めて基本に戻ってみると、以前には気が付かなかったことが見出されたりするものです。
物事を成し遂げるまでには幾度となく壁に突き当たることは、世の理とも言えます。
そのときに一歩引いて力を付けることが、ブレークスルーに繋がることになるのです。
3歩進んで2歩下がる、という歌謡曲がありました。
じっと立ち止まっていても仕方のないことです。