松樹千年翠
松樹千年翠(しょうじゅせんねんのみどり)は、とてもよく茶席で掛けられます。
常緑樹である松の緑は、いつまでの枯れることなく、その緑を保っています。
そのため、おめでたい言葉として認識されています。
春は桜、秋はもみじというように、季節ごとに自然はその美しさで私達を楽しませてくれます。
しかし、冬枯れの時季になると落葉樹はその葉を落としてしまい、緑の葉を保持しているのは松のような常緑樹なのです。
松は、周りが変化していっても、その姿をほとんど変えません。
つまり、万物不変の法則があって、それは仏法のように変わらないのです。
普段は身につかないかもしれませんが、時としてその存在を露わにするのです。
この事実に気が付くか気が付かないかでは、全然違ってくると思われます。
『続伝灯録』にある南宋の禅僧である石田法薫の言葉が出典になっています。
松樹千年翠
不入時人意
(松樹千年ノ翠
時ノ人ノ意ニ入ラズ)
松の緑は恒久的で、人間を越えた存在のようなものです。
多くの人は目標に立てて実現しようとすると途中で諦めてしまいがちです。
しかし、強い変わらない意思があれば、多くのことは成し遂げられると考えられます。