竜田姫
竜田姫は、秋の女神です。
紅葉が美しい竜田山が奈良から秋の方角である西に位置しているので、秋の女神として認知されるようになったのです。
そして、秋を演出する竜田姫は、染色にも関わっています。
そのため、秋になると山々を赤く染めていくのです。
『延喜式』にも、「竜田比古竜田比女神社二座」と記され、竜田彦と竜田姫は平安時代には知られていることが分かります。
「竜田姫たむくる神のあればこそ秋の木の葉の幣とちるらめ」
『古今和歌集』巻5・秋下・294 兼覧王
「竜田川紅葉乱て流るめり渡らば錦中や絶えなむ」
『古今和歌集』巻5・秋下・283 読人知らず
竜田山、竜田川は歌枕として秋の歌によく詠われました。
古今和歌集にも選ばれている歌にも取り挙げられているので、平安時代には既に竜田姫の存在は一般化していたと改めて確証します。
それから、能の演目にも「龍田」という竜田姫を題材にしたものがあります。
そして、竜田揚げの由来ともなっています。
紅葉の色に似ているということでその名があります。
もみじの紅葉を愛でに竜田山や竜田川に行くのも、雅な感じがして楽しいものです。
その折りは、竜田姫が染色した鮮やかな赤色を堪能してください。
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