南禅寺界隈別荘群
南禅寺界隈別荘群は、京都の南禅寺の周辺に幾つかある壮大な別荘のことです。
明治維新の廃仏毀釈で、南禅寺の広大な境内の一部が、琵琶湖疎水による動力を使う工場予定地になりました。
しかし、結局、工場が建てられることはなく、民間に土地が払い下げられたのです。
そして、富豪が東山を借景とするこの地に競って別荘を造ったのです。
對龍山荘、碧雲荘、何有荘、流響院、清流亭、
有芳園、真々庵、織宝苑、無鄰菴、清風荘、
智水庵、怡園、旧上田秋成邸、洛翠、旧寺村助右衛門邸
以上、15個の別荘が南禅寺界隈別荘群を構成しています。
無鄰菴は、別荘群の中で最初に新しく造営されたもので、山県有朋が七代目小川治兵衛に作庭させています。
對龍山荘が、薩摩出身の伊集院兼常の造営したもので、持ち主を代えて現在に至ります。
碧雲荘は、野村財閥の創設者である2代目野村徳七の造営したもので、現在も野村グループが所有しています。
何有荘は、稲畑勝太郎の造営した和楽庵を、宝酒造の大宮庫吉が譲り受け、名前を変えたものです。
中には、一般公開されているものもありますが、たまに特別公開で見学することができることもあります。
春や秋に、この界隈を疎水の流れがところどころに聞きつつ、散策するのもよいのではないでしょうか。