李朝 秋草手
李朝の白磁染付には、草花紋というものがあり、特に、秋草紋、秋草手と呼ばれるものがあります。
必ずしも、秋草とは限りませんが、楚々とした感じが余情をそそる秋草をイメージさせるのでしょう。
17世紀後半から秋草手の白磁染付が造られるようになりました。
京畿道広州郡金沙里に官窯が置かれた18世紀前半あたりが、秋草手の全盛期となりました。
しかし、それ以降も造られますが、余情を感じさせる風情は徐々になくなっていきます。
線書きのような筆の細いタッチで草花の茎、葉、花弁などが描かれています。
染付には淡い灰青色のように繊細な青が使われたりして、それが白磁の乳白色に絶妙な感じで映えています。
当時、呉須が貴重であったために、薄めて使ったために、このような風情が醸し出されたのです。
この楚々とした雰囲気が、日本人の感性に訴えたのです。
そのため、秋草以外の草花紋でも秋草手と称したのです。
そして、李朝の陶磁器を愛好している人達にとって、秋草手は最も手に入れたいものの1つになっています。
大阪市立東洋陶磁美術館には、浅川巧旧蔵のものなど、李朝草花紋の秀作が収蔵・展示されています。
また、その絵葉書も販売されていますので、実物を観た後にいかがでしょうか。