鳴子
今のご時世、鳴子といえば、鳴子温泉が思い浮かぶのかもしれません。
鳴子とは、鳥を脅すための器具で、板に細い竹筒を紐で掛けたものを、縄に連ねたものです。
縄を引っ張ることで、板に竹筒が当たって鳴子がなることで、鳥などを追い払うものです。
これにより、農作物が鳥獣によって荒らされるのを防ぎます。
時代劇では、侵入者が鳴子の縄に足を取られて鳴らしてしまい、その存在が発覚してしまう場面がよくあります。
鳴子縄、鳴子守、引板などが共起語となります。
また、広義では、鹿威しも鳴子の一種となります。
特に、意匠として、稲穂と雀と鳴子は3点セットになって描かれ、収穫期の雰囲気を醸成しています。
また、狂言にも鳴子というものがあります。
主人に稲穂を守るように命じられた太郎冠者と次郎冠者は、鳴子を設置して番をします。
ところが、主人が見舞いとして持ってきた酒を2人が飲み、鳴子縄を引きながら謡いや舞に子興じますが、やがて寝てしまいます。
帰りが遅いために様子を見に来た主人に寝ているところを見付けられ、揺り起こされます。
そして、鳴子縄を引きながら逃げ回るのでした。
このようなあらすじです。
田圃に鳴子を見に行っても見付かりそうもありませんので、狂言の「鳴子」で鳴子を確認するという方法もありそうです。