理念の機能化・活性化の考察

「人の性は悪なり、その善なるものは偽なり」と、『荀子』性悪篇に書かれています。

 

バラモンは神職に就くが、やがてインドのカースト制の最上位として支配階級となっていきます。

 

共産主義は、生産力と人々の道徳が高度に発展し、個人が完全に解放された社会で、国家に代わる自主管理の組織が社会を管理し、個人への生産物の分配は各人の必要に応じて行われ、生活での平等が実現するものです。

 

社会主義は共産主義の前段階で、社会主義が更に発展した平等な社会が共産主義です。

1917年、ロシア革命で、世界初の社会主義国家であるソビエト連邦が樹立しました。

しかし、1989年に東欧の共産党政権が崩壊し、1991年にソビエト連邦は崩壊しました。

 

第二次世界大戦の敗戦国である日本とドイツは、欧州などの戦勝国よりも経済大国になります。

それは、既存の組織や利権・しがらみの解体と刷新があったからです。

それと同じことが、明治維新、プロイセンのドイツ統一にもありました。

今日の日本の閉塞感は、仕組みの疲弊に原因があるかもしれません。

 

崩壊方程式は、dN(t)/dt = -λN(t) で表されます。

ここで、物質の量; N(t), 崩壊定数; λ=(ln2)/T1/2 = 0.693/ T1/2, 半減期; T1/2, 解; N(t) = N(0)e-λ t、となります。

 

崇高な理念もそのままだと衰微・崩壊していくものであるということを歴史が物語っています。

 

禅譲とは、崇高な理念の崩壊を防ぐために、世襲によらずに有徳者に天子の位を譲ることです。

堯→舜→禹、という禅譲が古代中国でおこなわれました。

ところで、村田珠光→武野紹鴎→千利休、という流れが茶の湯でありました。

 

性悪説は、孟子の性善説に対して、荀子が唱えたものです。

人は本来欲望のままに生きますが、後天的な努力、即ち、学問で公共善を知り、礼儀を正せるものです、と説いています。

 

煩悩は、仏教の教義の一つで、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働きを指します。

茶の湯に関わる者は自己の煩悩を克服することで、茶の湯の理念の衰微・崩壊を防ぐのかもしれません。

 

千利休は、侘び茶の衰退を、当時に於いて既に危惧していました。

 

千宗旦は、自身は権力に翻弄させることを嫌い、どこにも出仕しませんでしたが息子達には経済的事由で出仕させました。

茶の湯の存続・継承には経済の関与は必要悪なのかもしれません。

 

家元制の確立は、元禄年間(1688-1704年)以降、経済発展により都市文化が発達して茶の湯人口が増えたことにより起こりました。

七事式は、18C中頃に制定されましたが、大衆化ともとれます。

 

現在、抹茶が興隆しているのは、婿養子を含めた世襲の千家の求心力によるものと考えられます。

 

現代社会の様相は、価値観が多様化し、情報が溢れていて、翻弄されがちでありますが、自己を見失わないことが肝要です。

 

結論としては、共産主義などの崇高な理念が永久に維持され難いことは歴史が示しています。

崩壊方程式に従うが如く、人の理念は経代するとそのままでは劣化する定めのようです。

その原因は、理念を保つべき人に潜む煩悩や欲望が、概して道を誤らせるからです。

千利休らによって確立された茶の湯も例外ではありません。

それを回避するには茶の湯に関わる者が、維持・発展を常に意識して行動する必要があります。

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