曜変天目

曜変天目は、鮮やかな光彩を放ち、瑠璃色の斑紋を持った妖艶な魅惑を備えた天目茶碗です。

 

12-13世紀の南宋時代に建窯で焼かれた茶碗で、おそらく偶然の産物ではないかと考えられています。

既に製法が分からなくなっており、多くの人がその再現を試みていますが、残念ながら再現には至っていません。

長江惣吉、林恭助、孫健興らがその再現に取り組んでいます。

 

現在に、世界に現存する完品の曜変天目は、全て日本に4つ存在します。

 

国宝が3点、重要文化財が1点になります。

 

国宝となっているものは、静嘉堂文庫蔵、藤田美術館蔵、大徳寺龍光院蔵です。

重要文化財となっているものは、MIHO MUSEUM蔵です。

 

静嘉堂文庫蔵のものは、稲葉天目と呼ばれるものです。

徳川将軍家の所蔵品となっていたものが、3代将軍である家光のときに春日局を通じて、稲葉家に伝わりました。

そして、大正7年(1918年)に稲葉家の親戚である小野哲郎の元に渡り、昭和9年(1934年)に岩崎小弥太が購入しました。

 

藤田美術館蔵のものは、徳川家康が孫の水戸の光圀に譲り、水戸徳川家に伝わりました。

その後、大正6年(1918年)に藤田家に移りました。

 

大徳寺龍光院蔵のものは、津田宗及の所蔵でしたが、その子である江月宗玩が継いだことで曜変天目も伝わったと考えられます。

非公開で見る機会はほとんどないようです。

 

また、2009年に中国の杭州市で割れた曜変天目が発掘されました。

とても長い間に土に埋もれていたにも関わらず、鮮やかな輝きは失っていませんでした。

 

曜変天目を現在まで伝えてきたのは、茶の湯の功績と言えるでしょう。

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