竹有上下節
竹有上下節という言葉ですが、これだけでも茶掛けとして使われますが、実のところ、対句となっています。
「松無古今色
竹有上下節」
(松に古今の色無く
竹に上下の節有り)
松と竹、古今と上下が対比されています。
松は季節に関わらず常に緑色ですが、過去と現在という時間的区別があります。
竹は節があって、上下の空間的区別があり、この状態が常のことです。
これは普遍の事柄で、誰にとっても同じです。
ですので、この事実を素直に受け入れて物事を対処するのが賢明です。
南宋時代に成立した『五灯会元』が出典になっていますが、これは、「景徳伝灯録」、「天聖広灯録」、「建中靖国続灯録」、「宗門聨灯会要」、「嘉泰普灯録」の5つの禅宗史書からなります。
「建中靖国続灯録」に記載されています。
大潙祖瑃禅師
「僧問、如何是潙山家風。師曰、竹有上下節、松無今古青」。
『五燈会元』巻18
(僧問フ、如何ナルカ是、潙山ノ家風、ト。師曰ク、「竹ニ上下ノ節有リ、松ニ今古ノ青無シ)
引用されていくに従って、竹と松の対句が逆転していったようです。
昨今、格差社会が問題視されていますが、しなやかな竹は、曲げてみれば、上の節が下に来ます。
諦めないことが肝要ではないでしょうか。