紫羅帳裏撒真珠

紫羅帳裏(しらちょうり)に真珠を撤(さっ)す、

 

紫の薄絹の着物の裏側という表からは見えない場所に真珠を仕込んでおく、ということです。

 

法華七喩の1つである衣裏繋珠を踏まえています。

紫の薄絹の着物の裏側に誰かによって縫い付けられた真珠は、その存在を自分では気付かないことが多いですが、他者から示唆されることで気付くものです。

 

また、禅師白隠慧鶴(1686-1768年)は以下のように述べています。

 

「紫羅帳裏に真珠を撤す。破布嚢裏の 真珠, 知る者は正に知る、是れ宝なることを。牛の飲む水は乳と成り。蛇の飲む水は 毒と成る。五雲、常に擁して人到らず、蕭策たり、仙家の十二楼。」『毒語心経』

 

(紫の薄絹の着物の裏側に真珠を縫い付けておいた話がある。ぼろの着物の裏にある真珠は、分かる者は、これが宝であると正に分かってしまうものである。牛の飲んだ水が牛乳となり、蛇の飲んだ水が毒となる。仙人のいるところに掛かるという五色の雲に遮られて、いつも人がそこに行くことができない。そうして十二縁起という12戸の仙人の家はもの静かである。)

 

良寛の讃に以下のようなものがあります。

「法師功徳品

鼻八百舌千二、紫羅帳外珠玉を撒す、然く一等精魂を弄すと雖も、就中這の段最も奇特。」

 

(法華経を受持、読誦、解説、写経すれば、鼻が800個、舌が1200個ある功徳となるというが、紫の薄絹の着物の外に宝石を撒くようなものだ。そのようにたとえ最も精魂を尽くして修行弁道するといっても、なかでもこの段は一番不思議である。)

 

衣はぼろでも心は錦、ということになります。

やはり中身を磨かないといけません。

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