利休百首
利休百首は、千利休の唱えた茶の湯の心得や秘訣を、約100首の和歌にして、茶の湯を学ぶ物に分かりやすく
示したものです。
利休道歌とも言います。
江戸時代の中期頃に、利休の名が冠されたと考えられ、その原型として、「紹鴎茶湯百首」や「遠州茶湯百首」があると思われます。
裏千家の咄々斎と大炉の間との境に位置する襖を「法護普須磨」と言いますが、その四枚に裏千家11代玄々斎が「利休居士教諭百首歌」と
題した自筆で記した百首が有名です。
そして、その最後に、「以心伝心教外別伝不立文字拍は鳴る敲は響く鉦の躰」と書き付けています。
教えは、言葉や文字ではなく、心から心へ直接伝えられるもので、この身は、拍てば鳴り、敲けば響く鐘のようなもの、という意味です。
茶の湯の境地が示されています。
利休百首を以下に抜粋します。
「その道に入らむと思ふ心こそ我身ながらの師匠なりけれ」
「こころざし深き人にはいくたびもあはれみ深く奥ぞ教ふる」
「何にても置付けかへる手離れは恋しき人に別るゝと知れ」
「茶の湯とは只湯をわかし茶をたてゝ飲むばかりなる事と知るべし」
「規矩(きく)作法守りつくして破るとも離るゝとても本を忘るな」
利休百首を読み返して、茶の湯の教えをじっくり考えてみるのも必要かもしれません。