一楽二萩三唐津の楽
一楽二萩三唐津
このように、茶人の好む茶碗の順番とされているように、楽焼は、茶碗の最高峰と言えるでしょう。
それもそのはずで、千利休が長次郎という陶工に、茶を服するのに適した厚さや重さなどを備えた茶の湯のための茶碗として、楽茶碗を焼かせたからです。
その際、長次郎は、聚楽第を造る際に出た土、いわゆる、聚楽土を用いて焼いたと言われています。
楽茶碗は、轆轤を使わない手捏ね(てづくね)という手と篦だけで成形する手法で形作られる、家屋内の内窯で焼かれる低温焼成の軟質陶器です。
黒楽茶碗の釉薬は、加茂川黒石からつくられた鉄釉で、現在、この加茂川黒石は採取禁止になっています。
重要文化財となっている楽茶碗には、長次郎作では、黒楽「俊寛」、黒楽「ムキ栗」、黒楽「大黒」、黒楽「東陽坊」、黒楽「東陽坊」、赤楽「無一物」、と、数多く指定されています。
山本兼一の『利休にたずねよ』には、長次郎と利休の出会いと、利休の思い描く茶碗を作ろうとする長次郎の作陶の場面が臨場感のある描写で描かれています。
茶人として、楽茶碗は垂涎の的で、是非とも手に入れて、愛用したい逸品です。