畳ベッドにヒノキというおすすめの組み合わせ

■畳ベッドにヒノキというおすすめの組み合わせ■

▪畳のある家屋の著しい減少▪

現在、日本人の生活においてすっかり姿を見掛けなくなったものとして、畳が挙げられるのではないでしょうか。かつては、どの家にでも畳の敷かれた和室があったものです。

それでは、畳の代わりに登場したものは何でしょうか。それは、フローリングという欧米の床材です。

確かに、日本の家屋でも廊下などは板敷きの場合が多くなっています。それが、生活空間であるリビングや寝室まで、フローリングという木製の板敷きになっています。

このような変化の原因として、日本人の生活スタイルの変容があります。つまり、床に座る生活から、椅子に座る生活に移行したのです。西洋的なライフスタイルが採用された結果です。

フローリングの普及に伴い、これと相性のよい椅子、テーブル、ベッドが用いられるようになりました。また、フローリングは、畳、それに、カーペットや絨毯のようなものと比べて、格段にメンテナンスが容易です。液体をこぼしたときは、フローリングが簡単に拭き取れますし、ホコリも簡単に取り除けます。

こうして、畳は次第にフローリングに取って代わられたのでした。そして、布団に代わってベッドが好まれるようになりました。

▪木の露出しない大壁の住宅▪

畳があまり使われなくなったこと以外にも、今の日本の家屋には以前とは違った特徴を持っています。

その1つが大壁と呼ばれる壁の工法が一般化していることです。これは、木の柱の上から石膏ボードを貼り付けたものです。すなわち、燃える材である木が露出しないだけでなく、耐火性のボードで覆われているため、火事のリスクがとても低減している住宅となっています。また、工法も簡単です。

そのため、住宅密集地では、大壁の住宅が多く建てられています。更に、外壁も耐火性のサイディングボードが貼られているので、火事が起きても延焼して広がる可能性が低くなっています。

しかし、火事の危険性は減ったものの、日本人が慣れ親しんできた木が室内で見られなくなりました。

▪畳というもの▪

ここで話題となっている畳ですが、実に歴史は長いものです。その原型とされるものは、奈良時代の「御床畳」（ごしょうのたたみ）というものです。やがて、平安時代に置き畳みとして部分的に敷かれました。そして、室町時代になると畳が敷き詰められた書院造りの部屋が造られました。

こうして、日本の文化と一体となって発展してきた畳は、イグサでできた畳表で、畳床と呼ばれる板状の芯を包んだ構成となっています。

そのため、表面のイグサから芳しい芳香が放たれます。とりわけ、新品の畳は、とてもいい香りを室内に放っています。

▪香りを放つヒノキ▪

家を建てる高級木材としてヒノキが使われていました。それ以外にも、風呂桶がヒノキで造られたりしていて、案外、ヒノキは身近な存在であったと考えられます。

このヒノキもとてもよい香りを放っています。これは、フィトンチッドと呼ばれる揮発性有機化合物です。その種類は、数多くあり、鼻にある多数の匂い化合物の受容体に特異的に、かつ、多数に対して結合して、匂いを感じさせます。本来、抗菌作用を示して、樹木が外敵から侵攻されることを防ぐ目的があるものです。ヒノキ以外にも、スギなどのフィトンチッドを放散します。

揮発性であることから、新しいヒノキであればあるほど、その放散量は多くなります。そのため、新築の家は、独特の芳しい芳香に包まれているのです。