コルクマットは反ることがあると聞くけれど、その真相はどうなっているの、という疑問を持っている方がいらっしゃるようですので、それに答えたいと思います。
最近、注目を集めている敷物としてコルクマットがあります。天然素材であるコルクをエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)という柔らかめの樹脂に貼ったものです。
主に、防寒、防音、転倒の衝撃緩和という用途のために一般家屋のフローリングの上に敷かれて使われます。そして、ジョイント式なので、思いのままに敷き詰めることが可能となっています。
このように、多機能性を備えているので、コルクマットは人気を博しています。
また、厚手のコルクマットであれば、その分、柔軟性が増しているだけではなく、形状的にも丈夫となっています。
コルク樫の樹皮を剥がして加工したものがコルクというものです。スベリンやリグニンなどの木化を担う高分子からできていて、細胞壁のみが残された形状なので、特徴的な多孔質構造を有しています。
この高分子は、3次元編み目構造を持っているために、頑強、且つ、柔軟な性質をコルクに与えています。そのため、熱に強かったり、燃えにくかったり、撥水性や撥油性を示したりという特性をコルクは持っているのです。
熱可塑性とは、加熱する温度を上げていくと、軟化点と呼ばれる温度を越えると樹脂が柔らかくなり、逆に、冷えて軟化点を下回ると固まるという性質のことです。
EVAの軟化点は約60ºCから90ºCとなっています。酢酸ビニルの含有率によって軟化点は違ってきますが、酢酸ビニルの含有率が高いほど、軟化点は低くなります。
実際問題として、コルクマットが反るという現象はどのようなときに起こるのでしょうか。一番考えられるのが、加熱によってコルクマットを構成するEVAの軟化点以上の温度を持って、EVAが形状を崩した状態で冷えて固まってしまうことが可能性として挙げられます。
床暖房による床面の温度は、低温火傷を引き起こさない温度であると考えられます。実際、独立行政法人国民生活センターの商品テスト結果「暖房器具の安全性等」(平成14 年9 月6 日)によれば、電気ヒーター式床暖房の床面温度は、高めの設定での6時間の連続運動後では41 ºCとなりました。これは、EVAの軟化点以下の温度になります。
故に、コルクマットは反ることがないと思われますが、断熱性のあるコルクマットと床表面の間に熱が籠もることで、床材が過度に乾燥してひび割れを起こすことがあります。従って、床暖房とコルクマットを併用して使用する場合、留意が必要となります。
そもそも、コルクマットは断熱性を示すので、その下に熱源である床暖房から発せられる熱がコルクマットによって遮断されてしまうことになります。
そのため、エネルギーの無駄になってしまうことになります。床暖房とコルクマットの併用は、考え直した方がよいかもしれません。
天板の温度が300ºC弱となっている薪ストーブの周辺の温度は、35 cm離れた壁では約60ºC、58 cm離れた壁では約53ºC、直ぐ下の床では約56ºCというようになっているようです。
これは1例に過ぎませんが、EVAの軟化点と越えるほどではないようです。そのため、コルクマットが反るということはないと思われますが、念のため、ストーブの周辺でコルクマットを使う際には注意が必要となります。
幾つかのこたつの取扱説明書には、目盛りを強にした場合、こたつの側面が約65ºCになることがあるので注意が喚起されています。
コルクマットの上にこたつを置いて使う場合、こたつの櫓とコルクマットの間には、こたつ用マットや敷き布団が敷かれると思われます。そのため、コルクマットの実質的な温度は、こたつの側面の約65 ºCよりも低くなると想定されます。
従って、ぎりぎりEVAの軟化点である約60ºCから90ºCに入るか入らないかという温度であると考えられます。しかし、EVAの上に貼られているコルクが更に温度を遮断するので、おそらく、EVAの軟化点よりも低い温度になっていると思われます。
それ故、完全には否定されたわけではありませんが、こたつとコルクマットを併用して、コルクマットが反ることはあまりないと考えられます。念のため、アルミニウム製の断熱シートをコルクマットと敷き布団の間に挟んでおくことをおすすめします。
コルク樫は地中海という比較的乾燥した地域に生育している樹木ですが、乾燥から身を守るために、コルク層という厚い樹皮が形成されているのです。そのため、直射日光に含まれる紫外線に対しても耐性を示すのです。
また、EVAは、エチレンと酢酸ビニルをモノマーとした高温・高圧下でのラジカル重合という化学反応ではやや激しい条件で共重合反応させた高分子化合物です。従って、反応すべき官能基などが既に反応してしまっており、紫外線という光エネルギーという活性化エネルギーを与えられても、新たな反応が起こりにくい状況となっています。
従って、EVAにコルクを貼ったコルクマットは、紫外線の影響で形態に変化をきたして反り返ることはありません。
以上より、コルクマットは、コルクとEVAから出来ていますが、熱可塑性を示すEVAには軟化点が存在します。そのため、この温度を越えると変形して反ることが想定されます。
しかし、実際にEVAの軟化点を越える状況というのは、家庭内では創出されないようです。従って、コルクマットが反り返ることはないと思われますが、著しく温度が上がる器機を使う場合は留意が必要となります。
それでは、反り返ることがないと思われるコルクマットを敷いて、ちいさなことを気にしないで済む生活を送らしください。
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