コルクマットを床に敷いて、その上で家具を置いても問題がないのか、という疑問に持っている方がいらっしゃるようですので、それに答えたいと思います。カーペットや畳の上に家具を置いているケースはよく知られていますが、果たして、コルクマットの場合はどうなのでしょうか。
カーペットはやや薄めの敷物でフローリングのような固い床材に敷かれ、畳は板状の畳床をイグサで出来た畳表で包んだものです。そのため、重量のある家具を載せたとしても、カーペットの下にあるフローリングや畳の芯となる畳床という固い材質の支持体が、家具の重量を支えるため、安定的にその置かれた状態を維持し続けます。
しかし、コルクマットは、一般的には、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)というエチレンと酢酸ビニルをモノマーが共重合した弾力性のある高分子の樹脂シートに、植物の木化の主原因となるスベリンとリグニンなどのモノマーがそれぞれ重合した多孔質構造の高分子を貼り付けたものです。そのため、クッション性や弾力性に優れています。ですので、ものを置く場合、安定性のよくないことがあるので、注意が必要となります。
ASTM D256という試験規格に基づいたアイゾット衝撃強さを測る方法があり、これに則って、EVAの衝撃強さ(Izod Kg・cm/cm)を測定すると、ポリマー辞典及び日本化学便覧他によれば、EVAは破壊されませんでした。
どういう試験方法かといえば、試験片の片側を固定して、その反対側を、吊した振り子状のハンマーを任意の角度から離して横から衝突させて、試験片の破壊される力を試験片の肌で割った数値であるアイゾット衝撃値を測定するものです。測定結果の数値が大きいほど、耐衝撃性があります。
つまり、破壊されないということは、EVAはとても耐衝撃性があるということです。そのため、インパクトの時間が短い衝撃に対しては、抗力を示して反発します。ですので、赤ちゃんや高齢者の転倒や落下に際して、大きな怪我に至ることを防ぐのです。
しかし、コルクマットの上に、重量のあるものを置いた場合、インパクトの時間が長いので、加重のある箇所は凹んでいきます。この凹みは、フックの法則や作用反作用の法則に従って、やがて落ち着いたところで止まります。
その重量が小さいものであれば、僅かに沈むだけで、それをどかせば、弾性により元の状態に戻ります。そして、重量の大きいものであれば、次第に深くめり込んでいきます。場合によっては、置いた箇所に跡が残る可能性もあります。
圧力が大きくなってそれに耐えきれなると、コルクの組織構造やEVAの樹脂構造が破壊されて、完全に陥没することになり、結果、その下に存在するフローリングのような固い支持体が加重を支えることになります。そのため、同じ重量でも、広い面積でとらえることで圧力(Mg/S, M:質量、S:面積、g:重力加速度)を小さくすれば、完全に陥没することはなくなると考えられます。
つまり、コルクマットの上に置く家具が脚の付いている家具であれば、各脚に均等に重量が掛からないとバランスがよくないために不安定になり、倒れる可能性があります。例えば、一般的な4本脚では、家具の重心が4本の脚の中央になければ、コルクマットの上に置くとバランスがよくないことになります。家具の重心を常に中心に固定するのは難しいことだと思われます。
ですので、脚の付いた家具の場合、脚の下に床キズ防止マットのような小さな板状のものを挟むことで、バランスの悪さは多少改善されると考えられますが、その効果は限定的であると理解した方がよいでしょう。家具の重量が軽いものが想定されます。
また、底が平らな家具であれば、フックの法則の成立する範囲内において、コルクマットは広い面積で圧力をとらえることができます。しかしながら、インパクト時間の短い衝撃とは異なり、その時間の長い力では、凹みを避けることは難しいと言えます。
ですので、家具とコルクマットがなじむように凹みの調和にたどり着きます。コルクマットは重い家具を置くと凹むという認識を持って置いてください。但し、フローリングの上に置くとき以上に転倒防止策を施さなければいけませんのは、言うまでもありません。
もっとも、底が平らな重い家具を何もコルクマットの上に置く必要性はなく、フローリングの上に置いて、その際、家具の面に合わせてコルクマットをカッターナイフで切ってから敷けば済むことになります。
同様に、脚のある家具で動かさずに同じ場所に置く場合も、脚のあるところだけコルクマットをくり抜けば済むことになります。
以上より、コルクマットの上に家具を置く際、場合分けが必要になります。イスのような重量の軽い脚のある家具の場合、脚の下に床キズ防止マットのような小さな板状のものを貼り付けることでバランスと凹みの問題はある程度は解消されます。また、脚のある家具をいつも同じ場所に置くのであれば、コルクマットのその脚の部分を切り抜いて、フローリングと接するようにすれば、バランスと凹みの問題は解決されます。
また、底が平らな重い家具をコルクマットの上に置く場合、コルクマットの凹みを前提にして置き、家具の転倒防止を十分に行ってください。この場合、重い家具をフローリングの上に置き、その形状に合わせてカッターナイフで切ったコルクマットを前面まで敷けば、バランスと凹みの問題は解決されます。
要は、無理をしてでもコルクマットの上に家具を必要性があるのかを問い直してみてください。
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